本の紹介
壬生雅穂著(玄武書房)
『ミチューリン会機関紙に見る
農業技術運動の展開と変容』
機関紙から歴史振り返り、
存在意義考える
1920年代のソ連の農学者ルイセンコが提唱した農業技術「ミチューリン農法」は、日本国内でも一定期間、広がりました。
本書では、ミチューリン農法の流行を4期に区分することで、その発展から衰退までの流れがわかりやすく記されています。この農業技術を推進する当時の中心的存在である「ミチューリン会」が発行した機関紙から多くの“ヒント”が見て取れます。
「ミチューリン会」の活動を「農の会」(農民連に団体加盟)が引き継ぎ、「農を愛し、農を科学し、農をつくる」をスローガンに、農業技術の研究、実践、交流を行ってきました。農の会は「自然の営みと生物の生活を大切にし、農作物や家畜を丈夫に育てる実践と研究をとおして、日本の農業を守り発展させることを目的」に活動してきましたが、今後はインターネットのSNSなどを活用し、緩やかなつながりのなかで農業技術などを交流していくことにするために2020年、組織を解消しました。
本書により、日本国内での「ミチューリン農法」の発展と衰退を振り返り、「ミチューリン会」の機関紙から紐解かれる歴史を考察することで、農業団体の価値や存在意義を改めて考えさせられます。
本書は、アマゾン農林水産の参考図書・白書の売れ筋ランキングで複数回1位になりました。
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価格 1500円(税別)
106ページ、21・0×27・3センチメートル
注文は、インターネット・オンライン書店(アマゾン、楽天ブックスなど)から。
(新聞「農民」2021.6.14付)
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