「土地利用規制法案」審議入り
国民監視と私権制限、運動弾圧ねらう法案「土地利用規制法案」が衆議院で審議入りし、政府・与党は、今国会での成立を狙っています。
どんな目的、何を狙った法案?この法案は、政府が指定した区域の土地や建物の利用状況を調査し、利用を規制できるというもの。「安全保障に寄与することを目的とする」と明記されていますが、なぜいま必要なのか?安倍・菅政権はこの間、「戦争する国づくり」のために特定秘密保護法、共謀罪法、安保法制=戦争法を強行してきました。この法案の狙いは、これらの動きと一体ものとしてとらえることで本質が見えてきます。
菅政権の「戦争する国づくり」と一体ものどんな内容の法案?(1)「注視区域」に指定米軍基地や自衛隊基地、原発などの「重要施設」の周囲約1キロと、国境にある離島を「注視区域」に首相が指定し、そのなかで特に重要とみなすものを「特別注視区域」に指定するとしています。 (2)利用状況の調査、報告なしに罰則 政府は「注視区域」内にある土地・建物の所有者や賃借人などの情報を集め、必要であれば利用状況に関する報告を求めることができます。 「特別注視区域」については、一定以上の面積の土地売買は、氏名、国籍などの事前の届け出を義務付けます。 無届けや虚偽の届け出をした場合は、6カ月以下の懲役または100万円以下の罰金を科すことができます。 (3)利用を規制し、従わない人には罰則 「重要施設」などの「機能を阻害する行為」や「機能を阻害する明らかなおそれ」がある場合は、首相が利用中止の勧告・命令を行うことができます。命令に応じない場合、2年以下の懲役または200万円以下の罰金を科すことができます。
危険性知らせ一気に廃案に恣意(しい)的判断でプライバシーの侵害、運動弾圧も(1)プライバシーを侵害する際限のない調査政府が収集できる情報は、「その他政令で定めるもの」「内閣府令で定める事項」であり、国会のチェックなしで、思想信条や所属団体、家族・友人関係などを調べることができます。 過去に、自衛隊のイラク派兵に反対する国民を自衛隊情報保全隊が監視していた事実もあり、決して杞憂(きゆう)ではありません。 (2)運動弾圧につながる利用規制 法案にある「機能を阻害する行為」の具体的内容は、法案成立後に政府の裁量で決められる「基本方針」で定めることになっています。 基地などの近隣住民の監視、基地に対する抗議行動の規制が政府の恣意的判断で実行されることになります。 沖縄では、多くの住宅などが基地から1キロ以内となります。これらの基地は、住民の土地を強奪して造られたもので、ただでさえ基地の重圧に苦しむ県民にさらなる負担を押し付けることは到底認められません。 法案の危険性を知らせ、廃案に向けて世論と運動を一気に加速させましょう。
(新聞「農民」2021.5.24付)
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[2021年5月]
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