「農民」記事データベース20210517-1456-06

国民投票法改定案が
衆院憲法審査会通過


改憲に道を開く改定案は廃案に

 自民、公明、維新の各党などは5月6日、衆院憲法審査会で、改憲手続き法である国民投票法改定案の採決を強行しました。国の最高法規である憲法改定に関わる法律改定は、現行法の問題点も含め賛否を超えて徹底した審議が必要です。採決を拙速に強行するなど到底許されず、断固抗議するものです。

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「国民投票法改定案の強行採決は許さない」と怒りの声をあげる参加者=5月6日、国会前

 改定案の狙いは、菅首相自身が3月の自民党大会で、国民投票法改定案を「(憲法改正の)第一歩として成立を目指したい」と述べており、自公・維新による同改定案強行の企ては、憲法改定に向けた“地ならし”にほかなりません。

 自民党による「憲法改正」の狙いが、海外での武力行使を無制限にすすめる「戦争国家」をつくり、緊急事態への対応の名目で基本的人権をじゅうりんする「独裁国家」をつくることです。憲法改定を、コロナ危機のどさくさに紛れて行うような火事場泥棒的蛮行は許してはなりません。

 そもそも同法は、2007年5月、第1次安倍内閣のもとで、自公両党が国民の反対を押し切り強行成立させたものです。

 その内容も、改憲案に対する国民投票の最低投票率の定めがなく、有権者のわずか1割、2割の賛成でも改憲案が通る仕組みという根本的欠陥をはじめ、国民の自由な意見表明や国民投票運動を不当に制限し、改憲案の広報や広告が改憲推進勢力に有利な仕組みになるなど、極めて不公正で反民主的な法律です。

 今提案されている法案は、こうした根本的欠陥をそのままにし、憲法改定のための国民投票をしようというものです。

 たたかいは参院 拙速採決するな

 法案は、現行法が義務付けた選挙権年齢等の18歳への引き下げを棚上げし、投票権年齢だけを確定します。同法制定時、自公両党は、選挙権年齢・成年年齢を投票権年齢とともに18歳とすることは「最低限の条件」と答弁していました。法案は当時の提出者の説明にも真っ向から反するもの。

 さらに、公務員による国民投票運動をさらに広範囲に制限することによって、主権者国民の自由な意見表明や国民投票運動をいっそう妨げるものです。裁判官等の4職種の国民投票運動を禁止対象にすることは、同法の審議経過さえ無視し逆行しています。新たに「組織による国民投票運動」への規制を検討条項に盛り込み、NPOまで規制しようとしています。

 菅首相が憲法改悪の「第一歩」と位置付けている国民投票法改定案の廃案を、引き続き参議院でも求めていきます。

(新聞「農民」2021.5.17付)
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2021年5月

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