農のこころ

丸山美沙夫

　田に水が入るやたちまち蛙の夜

　　　　　　　　　　　　井口ひふみ

　俳誌『みすゞ』から。いよいよ田植の準備に向けて耕した田に水を引き代掻きが始まる。それまで静かだった田圃も一斉に蛙の大合唱となる。それも、一匹が鳴き出すと競い合い、またピタリと止む。その繰り返しのように続く。蛙にとっては繁殖期でもあろう。とにかく水田と蛙の賑わいは、村里の活気づくひと時だ。