JAの石油スタンド廃止
地域住民が食い止めた
北海道・平取
“黒字なのに”と
農民連の会員が声をあげ署名活動
北海道一のトマト産地で、新規就農者を積極的に受け入れているJA平取(びらとり)で、地域住民の力で石油スタンドの廃止を食い止めることができました。
道内各地で「売り上げが減って採算が合わない」「施設が古くなり、新しい施設をつくために多額の経費がかかる」などの理由で、人口が少ない地域の農協の店舗やスタンドの閉店、農協から切り離して別の運営会社にするなど、「買い物の店がなくなり不便になった」「いつまで地域が続くか不安」などの声が広がっています。
エコカーの普及、2019年10月の消費税10%引き上げ、新型コロナ感染拡大で人の動きが減ったことが影響し、石油スタンドはどこも大変です。「農協スタンドが町の唯一のスタンド」という町もあります。
平取町貫気別(ぬきべつ)地域でも、「施設が古くなったから」「赤字になるから」と農協の石油スタンド廃止の話がでてきました。農民連の組合員から「スタンドがなくなったら大変。近くの農協スタンドまで40キロ離れている農家もいる」と北海道農民連に相談があり、さっそく地域住民の方の「スタンドを残してほしい」という署名を集めました。農協に署名が持ち込まれたのは初めてのことでした。
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住民の運動の力で守り抜いたJAの石油スタンド(北海道平取町) |
道農民連は、道知事、JA道中央会、ホクレンに「地域住民、農家が大変困るので、石油スタンド存続に協力してほしい」と要請しました。
また、農協研究者による「4カ所の石油スタンドは、3年間6600万円の累積黒字で廃止する理由がない」という分析を力に、農民連組合員が「黒字なのに、なぜ廃止しなければならないのか」と、懇談会で存続を強く求めました。その結果、石油スタンドの廃止が先送りになりました。
農協の外部監査から「利益がでない店舗、部門の廃止、閉鎖」を求める動きが強まっています。協同組合の目的は「助け合い第一」で、「利益第一」ではありません。コロナ禍だからこそ、暮らしと地域農業をしっかり守る農協の役割が求められています。
(北海道農民連書記長 富沢修一)
(新聞「農民」2021.4.26付)
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