病体生理研究所と公害地球懇がセミナー
温暖化対策とエネルギー
政策の抜本的見直しを
公害・環境問題懇談会と病体生理研究所が共催で、地球温暖化と日本のエネルギー政策をテーマにしたオンラインセミナーを2月28日に開催しました。
気候変動や再エネの技術研究に取り組む若手研究者の佐川清隆さんが講演。地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」の内容や、気候変動の現状、温暖化防止に大きくかじを切りつつある世界の流れを紹介しながら、日本政府の果たすべき責任と、それを実行に移す上での市民の役割について、語りました。
佐川さんは、「いま世界では、気温上昇を2度ではなく1・5度を目標とするべきというのが大きな合意となっており、そのためには2030年には温室効果ガスの排出を世界全体で45%減らす必要がある。つまりこの10年の対策が決定的に重要だ」と強調。「国民世論をもっと盛り上げ、温暖化を防止し、再エネ中心の社会へ、国の政策を転換していこう」と呼びかけました。
国際環境NGO「FoEジャパン」の吉田明子さんは、現在、政府内で見直し作業が進んでいる「エネルギー基本計画」と「地球温暖化対策計画」の進捗(しんちょく)状況と問題点を報告。
「菅総理はやっと“2050年までに実質排出ゼロ”を打ち出したが、実際の議論はエネルギー業界や産業界の委員が中心の審議会で、市民参加の機会はほとんどない。中身も石炭火発と原発推進重視で、温暖化防止はまだ未確立の技術開発頼みというもの」と強く批判。その一方で、若者たちの運動が日本でも取り組まれており、公害運動や住民運動などと協力した新たな運動も各地で始まっていることを紹介しました。
公害地球懇事務局長の橋本良仁さんは、「野党議員から原発ゼロ法案が提出されているが、いまだにたなざらしだ。この政治を変えるためにも、次の総選挙では市民と野党の共同を前進させよう」と呼びかけました。
(新聞「農民」2021.3.15付)
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