大豆畑トラスト運動交流会
=オンラインで開催=
GM・ゲノム編集大豆はいらない!
異常気象とコロナ禍のなかでも各地で交流進む
大豆畑トラスト運動交流会が2月17日にオンラインで開催されました。主催は、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン。
種子支配強化のゲノム編集作物
第1部は、ゲノム編集技術の問題点や市民の反対の取り組みなどを取り上げた最新作の記録映画「種とゲノム編集の話」(小林大木企画・2021年制作)を上映しました。
第2部は、ミニ講演会「種子をめぐる状況とゲノム編集食品」のテーマで、キャンペーンの天笠啓祐代表が報告しました。
多国籍企業による種子支配が進むと同時に遺伝子組み換え(GM)作物の開発も進み、「種子を支配することは、世代を超えて食料を支配することになる」と指摘。知的財産権強化の動きとしては、UPOV条約(ユポフ、植物の新品種保護のための国際条約)とその国内法として種苗法があり、それらの相次ぐ改定によって種子支配が強化されてきた経緯を語りました。
さらに、GMやゲノム編集作物の開発が進むと同時に「日本では、主要農作物種子法廃止、農業競争力強化支援法制定、そして種苗法改定が企業の種子支配に道を開いてきた」と述べました。
現在、世界で唯一栽培されているゲノム編集作物が米国での高オレイン酸大豆だとし、日本では、稲、トマト、養殖魚で開発が行われ、ゲノム編集トマトが実用化されようとしていることを批判しました。
最後に、「GM・ゲノム編集作物・食品を拒否することが、多国籍企業の種子・食料支配を許さず、伝統的な品種や食の安全・安心を守り、食料主権を確立することにつながる」と述べ、大豆畑トラストや産直運動の更なる発展に期待を寄せました。
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昨年10月に実施した、みそづくり交流会 |
産地と消費者が手結び交流進む
第3部では、キャンペーンの小野南海子さんが、大豆畑トラスト運動の状況について報告。1996年にGM大豆が輸入されるようになり、「国産大豆が食べたい」と消費者、生産者が立ち上がり、大豆の自給運動として始まった同運動を紹介。「大豆の自給率は7%程度だが、トラスト運動が国産大豆生産の維持に貢献していることはまちがいない。GM大豆を拒否し、地域の奨励・在来品種を守り、種子を守る運動としても意義がある」と激励しました。
その後、全国の産地からの報告があり、オンラインで福岡・みのう農民組合の佐々木督文さんが「昨年の最初の種まきは豪雨のため流され、発芽しなかった。1週間後に再度種まきをし、その後順調に収穫できた。収穫量は昨年並みで品質はよかった」と生産状況を報告。「コロナ禍で7月の種まき交流会は中止したが、10月の枝豆交流会は感染対策を徹底し、みそづくり交流会として開催し、11月に大豆、しょうゆ、みそを受け取りに来てもらった。申し込み数が増加し、野外での交流会は参加者も増えている」と語りました。
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報告する、みのう農民組合の佐々木さん |
他の産地は、文書で「カメムシ被害が多かったが、まあまあの出来だった」(長野・飯伊農民組合)、「獣害がひどく収穫量が5トンから1トンに減った。トラスト運動は中止せざるをえなかった」(兵庫産直センター)など厳しい生産現場の様子を報告。
一方で「例年通り援農に来てくれた人たちがいて助かった」(秀明自然農法ネットワークの各産地)、「『今こそ繋がろう!オンライン交流会』を実施し、有意義に交流した」(山形・新庄大豆畑トラスト)など交流も進んだ経験が紹介されました。
(新聞「農民」2021.3.8付)
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