「農民」記事データベース20210308-1447-02

鳥インフルエンザ

一刻も早い収束と支援具体化迅速に

農水省に要請
農民連 千葉県農民連


 過去最大の感染拡大となっている鳥インフルエンザの対策強化を求めて、農民連と千葉県農民連は2月24日、農水省、環境省、厚労省に要請を行いました。

 地銀や自治体に支援制度徹底を

 今季の鳥インフルエンザをめぐっては、昨年11月に香川県の養鶏場で発生が確認されて以降、西日本を中心に感染が拡大。2月25日現在で17県51事例に広がり、防疫措置による殺処分は1000万羽近くにまで及んでいます。

 とくに12月下旬以降は採卵鶏の飼養羽数2位の千葉県でも8農場で感染が確認され、このうち3件は100万羽以上の大規模養鶏場で発生。2月中旬までに飼養総数の約3分の1が殺処分される深刻な事態となっています。

 要請には、千葉県農民連の越川洋一会長、農民連の笹渡義夫副会長、埼玉県農民連の立石昌義会長をはじめ、千葉県内の養鶏場の経営者も参加。鳥インフルエンザの早期終息と拡大原因の究明のほか、発生農家や移動制限区域内の農家への迅速な補償、再建支援に向けた補償基準の強化などを求めました。

 養鶏場の経営者は、「これまで専門家の指導も仰いで真剣に飼養衛生管理に取り組んできたが、私の養鶏場にも感染が拡大し、卵の出荷がゼロという事態に追い込まれてしまった」と、言葉を詰まらせながら語り、「金融機関でも冷たい対応をされ、このままでは3月末には経営破たんしかねない。多くの従業員の雇用も守らねばならず、再建支援を切にお願いしたい」と訴えました。

 これに対し、農水省も「支援制度を活用して柔軟に資金融通に対処するよう指導したい」と回答。参加者から、「出荷停止になった養鶏場経営者の多くは要請に来られない。もっと金融機関や自治体などに支援制度を周知徹底してほしい」との声が噴出しました。

 また厚労省は、「新型コロナ禍による影響があれば、雇用調整助成金の新型コロナ特例の対象となる。従業員の雇用維持に活用してほしい」と回答しました。

大口需要の養鶏危機で
飼料用米の行き場なく

 一方、越川さんは、大規模養鶏場での発生が集中している匝瑳(そうさ)市では、埋却作業などの防疫措置が遅れ、悪臭が漂っている実態を述べ、「現場は緊急事態だ。国は対処の見通しを具体的に示してほしい」と求めました。

 これに「防疫措置は国も応援しているが、あくまで都道府県が主体で行うこと」と回答する農水省に対し、笹渡さんは、「感染が集中している千葉県などには国の担当者が常駐する体制をとり、防疫措置はもちろん、養鶏場への一刻も早い手当金の支給や資金融通支援など、県にあらゆる指導を強めるべきだ」と、重ねて要求しました。

 また、養鶏が飼料用米の大口需要者となっており、千葉県では今回の鳥インフルエンザの拡大で大量の飼料用米が行き場をなくし、地域の農業団体からも懸念の声が上がっている実態も出され、飼料用米の円滑流通への支援強化も求めました。

 要請には、日本共産党の畑野君枝衆院議員、斉藤和子前衆院議員が同席しました。

(新聞「農民」2021.3.8付)
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2021年3月

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