備蓄米安値入札
農家の痛みに冷酷、
農家切り捨ての菅政権
1月26日に行われた2021年産備蓄米入札では、全国農業協同組合連合会(全農)が60キロ1万1800円という「度を越した安値」(業界紙「商経アドバイス」の生産者の声)で大量落札し、さらなる米価下落のおそれが強まっています。
全農系統の大量落札のあおりを受け、落札できなかった業者の21年産米の集荷・販売計画の大幅見直しも進められています。備蓄米が不落札になった集荷業者などは生産者と同じで、加工用米や飼料用米等への販売転換が迫られます。
過剰在庫の隔離で米価の回復を
しかし、加工用米も主食米同様、在庫が大量にあり、21年産加工用米の契約価格も引き下げが必須の情勢でしたが、備蓄米入札の結果を受け、米菓業界から60キロ5000〜6000円との声も出始めました。
さらに3次補正予算での10アール当たり4万円の「水田リノベーション事業」が価格の下押し効果を生み、供給過剰に陥っている加工用米の値下げ競争が始まっています。
主食用米では、大手卸などが、21年産米の契約数量を減らすことを産地に伝えはじめています。さらに、50万トンともいわれる全農の20年産米の未契約分について引き取りのめどはたっておらず、20年産米の膨大な繰り越しが想定されます。21年産米を36万トン減産しても、需給引き締め効果は消滅しかねない事態です。
米農家を飼料用米生産に追い込む政府の思惑どおり、備蓄米の「安値落札」により、JA以外の飼料用米を扱っていない業者も取り組まざるをえない状況になっていますが、現在の過剰在庫の市場隔離を行わない限り、2年連続の米価暴落は確実で、下落した米価は22年産米まで継続することになりかねません。
2月4日の衆院予算委員会で米価下落にあたり備蓄米の運用について質問された菅首相は「需給操作のために備蓄を増やすことは制度の趣旨に合わない」と述べ、米価暴落対策をとることを冷たく拒否しました。
国産米は減産 外来は聖域
国産米需給が混乱しているもと、主食用のSBS(売買同時入札)米輸入は低調ですが、昨年9月からの累計でアメリカ産うるち米の落札は1万6千トンを超えました。
日本の米農家には1万円米価と減産を押し付け、消費者にはアメリカ産米を押しつけている菅内閣をこれ以上続けさせるわけにはいきません。
今年の備蓄米予定価格並みの1万3千円で買い入れても30万トンなら約700億円程度です。
全国で、備蓄米追加買い入れ、外米輸入ストップで米価下落を阻止する運動を強めましょう。
(新聞「農民」2021.2.15付)
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