ボーっとしていたら大増税!?
持続化給付金
どうする税金申告
カギは記帳と学習
持続化給付金などの給付を受けて、「ハウスの修理ができた」「農機具が買えた」「これで来年も農業が続けられる」とたくさんの喜びの声が聞かれました。しかし、その一方で「税金申告はどうしたらいいの?」と、戸惑いの声も聞かれます。農民連の税金申告の取り組みを紹介します。
持続化給付金は農業所得の「雑収入」です。経費を伴わない収入であり、きっちりと経費を計上しないと思わぬ増税になりかねません。
持続化給付金の申請支援をきっかけに農民連に加入された方の中には、「専従者控除をとっていなかった」「自己流でやっていた」「役場で済ませていた」人も少なくありません。
農民連は「売り上げはごまかさず、経費はチリ一つ漏らさず」を基本に農民連が作成している『農業収入・支出記帳簿』(税金ノート)を使って経費の漏れを防ぎ、専従者控除(給与)や扶養親族の付け替え、世帯分離をするなど、住民税や国保料(税)も見据えて申告しています。1万円の経費を見逃せば、2500円前後の増税になります。
農民連の自主計算・自主申告運動にぜひ一緒に参加しませんか。
|
1月16日に福島・安達地方農民連大玉支部が開いた税金学習会 |
申告納税制度
納税額を決めるのは納税者本人
税法は納税すべき所得税額を主権者である納税者自身が決める「申告納税制度」をとっています。納税額は決めてもらうものではなく、自分の経営を最もよく知る納税者本人が所得を計算し、税額を申告することによって確定します。
国税通則法16条申告納税方式
「納付すべき税額が納税者のする申告により確定することを原則とし、その申告がない場合又はその申告に係る税額の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかった場合その他当該税額が税務署長又は税関長の調査したところと異なる場合に限り、税務署長又は税関長の処分により確定する方式をいう」
農民連の『記帳簿』で経費をもれなく計上
農民連の自主申告の基本は、必要経費をもれなく計上することです。経費とは、所得税法37条の「総収入を得るために直接に要した費用…これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」です。
自分の経営は自分が一番よく知っています。家事関連費のあん分割合も本人が決めるのが最も実態に合っています。節税のポイントは経費をしっかり計上すること。「正確な実務」と「記帳」と「学習」が必要としています。
所得税法37条必要経費
「その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額……の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用……の額とする」
仲間で助け合って、自分が納得できる税金申告
記帳は、すべての事業者の義務。納税だけでなく、自分の経営を把握し、経営改善に役立てるうえでも大切です。農民連の記帳簿を使って仲間で教え合いながら記帳すれば、簡単に所得を計算できます。JAの記帳代行や税理士事務所は便利で楽に思えますが、人任せ。自分で納得して提出した税金申告は税務署に対しても自信を持って対応できます。
家族経営守る申告を
住民税・国保税・介護保険料も安くなる
農家は所得税だけでなく、社会保障負担が生活に重くのしかかっています。農民連は家族全体の課税負担を軽減する立場で税金申告に取り組んでいます。住民税、国保税、後期高齢者医療保険料などは、確定申告の農業所得、または他の所得との「合計所得金額」に連動し、所得控除後の「課税される所得金額」ではありません。
農民連の自主計算で農業所得を計算すれば各種負担が軽減できます。
兼業先や年金などで源泉徴収税が天引きされている人は、農業所得が赤字の場合、兼業所得や年金と合算(損益通算)して計算し直し、確定申告すると、税金が少なくなり、天引きされていた税金が戻ります。住民税や介護保険料・利用料、医療費の自己負担なども軽減されます。
さらに農民連の『税金対策の手引き』には、農家の暮らし全体を守る知恵とポイントを紹介しています。『記帳簿』とあわせて活用しましょう。
『手引き』『記帳簿』ともに、会員以外は非売品です。農民連に入って損をしない税金申告に取り組みましょう。
(新聞「農民」2021.2.15付)
|