「農民」記事データベース20210208-1443-02

〈寄稿〉

家族農業を自ら実践

農民連第24回大会で会長に選出された
長谷川敏郎さん(63)

 1月20日に行われた農民連第24回定期大会で、新会長に長谷川敏郎さん(63)が選出されました。長谷川さんに自己紹介と抱負を寄稿してもらいました。


全国の全ての仲間を
1人も取り残さない

 郵便局でバイト 週末は農作業

画像  中国山地のど真ん中、島根県邑南(おおなん)町で1町3反の田んぼと繁殖和牛(親牛)2頭、冬は山仕事の小さな農家です。私たち夫婦に実子はなく、里親として育てた二人の子どもに手伝ってもらいがんばっています。

 1957年、京都府綾部市奥上林の古和木の農家に生まれ、農作業を手伝いながら育ちました。高校は通学するには遠く、バス代も負担だったため姉妹と下宿し、郵便局でアルバイトしながら、土日は原付スクーター「スーパーカブ」で30キロの道のりを帰宅し、農作業に打ち込みました。

 妻の実家で農業 議員活動も26年

 「なぜまじめにがんばって働く農家の苦労が報われないのか」を勉強したくて、島根大学農学部に進み、在学中から全日農島根県連の税金計算会の手伝いをしていました。

 大学3年の時、農民組合の専従になりたいと申し込みましたが、お金がないと断られ、卒業後、島根県内で活動するなかで、結婚を機に妻の実家の農業を引き継ぎました。29歳で旧瑞穂町の議会議員になり、合併後も含めて通算7期26年務めました。

 農民連結成大会(1989年)に参加し、帰ってすぐ地元で瑞穂農民連を結成。96年から県連会長です。当時は本当に小さな県連で(今も小さい)、全国連に巨額の滞納を抱え、議員との兼務で苦労の連続でした。議員引退後の2015年、21回大会から全国連常任委員になりました。

 循環型アグロエコロジーめざす

 米作りは試行錯誤しながら、30年余り。除草剤1回以外は農薬を使わず、ネオニコフリーめざし、農民連食品分析センターから3年連続で「不検出」のお墨付き。肥料は牛の堆きゅう肥を主力に落ち葉と米ヌカ、木灰(ウッドボイラー)でした。

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堆肥のすき込みをする長谷川会長

 病気と害虫対策は疎植とツバメにがんばってもらう「スワロー農業」(岡山大学の小松泰信名誉教授が名付け親)。自分で作業道を作りながら間伐・除伐で出た材木を裏山から持ち帰り、給湯・風呂・暖房を賄い、循環型のアグロエコロジーをめざしています。

総選挙の年、流れ変えるチャンス

 持続化給付金の取り組みで奮闘

 農民連の持続化給付金の取り組みは、どんな小さな家族農業も対象にすることで、まさに現瞬間での国連「家族農業10年」のたたかいの具体化でした。給付を受けた農家をどんなに大きく励ましたことでしょう。「家族農業を農政の基本に」のスローガンを繰り返すだけでなく、具体的に政策を転換させ、活用することが重要です。

 今年は総選挙の年、流れを一気に変える絶好の機会です。チャンスをものにするには、「全国の全ての仲間を一人も取り残さない」ことがカギです。「共育ち」の伝統を生かし、小さな組織も大きな組織も仲間づくりで大きく前進しましょう。その先頭に立つ決意です。

(新聞「農民」2021.2.8付)
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2021年2月

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