今年は総選挙の年
改憲勢力に審判下し
憲法を守り生かそう
憲法インタビュー
「戦争する国づくりストップ! 憲法を守り・いかす共同センター」共同代表、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」共同代表、全労連前議長
小田川義和さんに聞く
市民と野党の本気の共闘発展させ
新自由主義に代わる新しい社会に
明文改憲許さず安倍政権が退陣
昨年2020年は、憲法をめぐって3つの特徴的な出来事がありました。
一つめは、安倍前首相による明文改憲を許さず、退陣に追い込むことができたことです。一昨年の参議院選挙の結果、憲法改悪をねらう与党が議席数で3分の2に届かなくなりました。私たち市民が「3000万人署名」や、昨年に呼びかけた「9条改憲NO! 改憲発議に反対する全国緊急署名」を軸に運動に取り組み、「憲法を守れ」の世論を広げ、たたかい抜いた大きな成果でした。
2つめは、安倍前首相の後をうけて発足した菅政権の危険性がより明らかになったことです。露骨な明文改憲の姿勢は示しませんが、日本学術会議への任命拒否問題など、政府による市民的政治的自由への侵害・介入、憲法破壊の策動が行われています。
3つめは、コロナ危機のなかで、自民党政治により憲法上の社会権が壊され、それを再強化する新自由主義的政策のもと、コロナ対策は無策、医療・社会保障はないがしろにする、不安定雇用が増えたもとで、貧困・格差はより深刻化しました。憲法25条(幸福追求権)、27条(勤労権)、28条(労働基本権)が侵害され続けています。
こうしたもとで、昨年1年の憲法を守る市民運動は、コロナ禍で、新しい運動の形を模索してきました。大規模な集会やデモ行進などが困難ななかで、検察庁法改悪反対のツイッターデモなど、インターネットやSNSを活用して世論を広げるという新たな動きもありました。
市民の運動・世論を可視化し、政治を変えて、暮らしを守るたたかいを大規模集会などに頼ってきた運動スタイルから脱却して発展させることが求められています。
政権交代実現し立憲主義回復を
2021年を迎え、憲法に関わる課題は、立憲主義を軽視する菅・自公政権の問題点が浮き彫りになり、政治を変えなければ憲法を生かす社会に進まないことがはっきりしたことです。
その点でも、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)が昨年発表した「立憲野党の政策に対する市民連合の要望書」にもとづき、(1)立憲主義の回復、(2)新自由主義を乗り越える――という目的を共有した課題で、市民と野党が本気の共闘への発展に尽力することが求められています。
「要望書」には、新自由主義に代わる新しい社会、憲法が生きる社会の実現がうたわれています。今年行われる総選挙は、その点を争点に政治を転換する絶好のチャンスです。
政治を変える主体は国民です。総選挙で、政権交代を実現し、憲法をものさしに政治を行う野党連合政権の誕生をめざしたいと思います。農民連のみなさんも、農業分野で市民と野党の共闘を進めながら、自民党政治に変わる政治を実現するために、ぜひ力をお貸しください。
コロナ禍で大変な状況ですが、運動や選挙戦のやり方を工夫しながらご一緒にがんばりましょう。
(新聞「農民」2021.1.25付)
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