「農民」記事データベース20210118-1440-09

発見
農の現場から

滋賀県農民連会長
田口源太郎


先輩専業農家の思いを継いで
後継者育成に全力

県内全市町に農民連を

 高齢化と離農を集落営農で克服

 私の住んでいるところは滋賀県彦根市南部の稲枝地域です。米を中心に営農している地域で、平たん地が多く、また、基盤整備された水田が90%を超え、米を中心とした農業に適した地域です。

 45年前から専業農家による農業受託者組合が設立され、専業農家を中心に農作業の機械化に取り組まれ、稲枝地域の農業をけん引されてきました。

 現在では、専業農家の後継者とUターンによる就農者が多く10ヘクタール以上の農地の農家が30戸ほどあります。私もUターン組で、1993年に就農し、現在は水稲40ヘクタール、麦・大豆30ヘクタールと梨を5園。ハウスでホウレン草を栽培しています。

 借入農地は、耕作者と所有者の契約となっているため耕作地が分散し、作業が非効率な状態でした。それを解決するため耕作者が相互に話し合い、所有者の同意を得て面的集積に十数年前から取り組んできました。その結果、専業農家の経営面積が増え、10ヘクタール、20ヘクタールを超える専業農家も多く、後継者も育っています。

 滋賀県では、「集落の農地は集落で守ろう」と、集落営農の組織化にいち早く取り組み、県独自の補助制度(機械、建物)によって、多くの集落で営農組合(機械の共同利用組合も含む)が設立され、転作(麦作)を中心に活動が活発にされてきました。その後、水稲の共同作業も含めた営農活動に取り組まれ、先進的な営農を進めている集落もあります。

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コンバインで稲の収穫をする田口さん

 農業で夢語り生活できる環境を

 一方で、農業者の高齢化、後継者不足で、耕作放棄地が年々増加し、集落の農業組合の役員は、「集落の維持ができない」「水路の管理ができない」等苦労されている地域も多くあります。

 農家は、いつも国の農政に振り回されてきました。特に食糧管理制度の廃止と米価の暴落は、農業離れを加速しました。また、農産物の価格保障もなく、多くの農家の皆さんが、「息子にはこんな苦労をさせられない」と離農されているのではないでしょうか。

 もっと「農産物の生産をすれば生活できる農業」「夢が語れる農業」をしていくためには、私たち農業者が手を取り合い、国の農政を大きく変えていくことがどうしても必要です。そのためにも、農民連運動を全県に広げていく決意で会長を引き受けました。

 全国各地の取り組みからみるとまだまだですが、持続化給付金の申請の取り組みで、新たな地域で農民組合員を迎えることができました。

 さらに「全ての市町に農民組合を」を合言葉にがんばります。

(新聞「農民」2021.1.18付)
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2021年1月

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