アグロイノベーション2020に
富山県花卉球根農協が出展
メーカーと共同で
チューリップ球根の
ネット栽培機械化モデル構築
11月11日から13日の3日間、東京・お台場の東京ビックサイトで、アグロ・イノベーション2020が開催され、富山県花卉(かき)球根農業協同組合が、チューリップ球根のネット機械化栽培モデルを出展しました。
同モデルでは、チューリップ球根をネットとネットの間に挟み込んで自動走行で植え込み、ネットごと収穫することで省力化を図るなどしています。このプロジェクトは2016年度に採択された農研機構の「革新的技術開発・緊急展開事業」で行われ、富山県農民連の水越久男副会長もかかわっています。
花卉球根農協の石田智久組合長は今の生産の現状について「生産者の高齢化と、それに伴う生産者の減少で、今後の産地の先細りを危惧しています」と話します。「産地としての力、魅力が失われてしまえば、『輸入でいいじゃないか』と言われてしまいかねない。富山の品種、多様性を大事にして産地を守っていかないといけません。また作業の重労働の見直しも課題です。作業の省力化が具体的に示せれば、やってみようという若い世代も増え、離農を思いとどまる生産者も出てくるのではないでしょうか」
産地を救う技術に
このモデル事業について石田組合長は「この機械を使えば、一番のネックとなっている、重労働の部分を解消し、重要な栽培技術の継承に専念できるようになると期待しています。個々の農家ではなく産地全体を救う技術だと思っています」と期待をしています。
機械の設計・開発に尽力したのは株式会社ヰセキ北陸の池田昌秀さんです。開発プロジェクトが始まった時、特殊機械の開発経験が豊富な池田さんに県から協力が依頼されました。
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左から石田組合長と池田さん、水越さん |
「水越さんと一緒に産地を訪問した時、農家が農地に座って手作業でしている姿をみて、『とんでもない作業だ。何としても機械化させたい』と思いました。マイナーな機械になるので、大手メーカーが手を付ける分野ではないのですが、会社全体の理解と協力もあり、私の経験を生かして試作機の完成までたどり着きました。ですがまだまだ改良の余地はあります」と池田さんは話していました。
(新聞「農民」2020.11.30付)
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