感染症対策のためにも避難所に
「TKB(トイレ・キッチン・ベッド)」を
災害対策交流集会
11月7日、今年の災害対策全国交流集会が東京会場とオンラインの併用で開催され、合わせて約150人が参加しました。
新型コロナウイルスの感染拡大のなかで災害が発生した場合、いかに複合災害を防ぐのかが大きな課題となっています。今年の集会は「感染症拡大と自然災害の複合災害から、命とくらしを守る」をテーマに、新潟大学特任教授で災害避難所学会前理事長の榛沢和彦さんと、前橋工科大学名誉教授の土屋十圀(みつくに)さんが講演しました。
榛沢さんは「コロナ禍の複合災害〜避難所の雑魚寝は最悪〜」のタイトルで講演。「日本の避難所の環境は100年間変わっていない。避難所での雑魚寝で、足を痛め歩けなくなる人や、エコノミークラス症候群で血栓ができる人が増える」ことを解説し、「一刻も早く雑魚寝の避難所を解消し、TKB(=トイレ・キッチン〈温かい食事〉・ベッド)を災害発生から72時間以内に用意することが必要」と指摘しました。
また、特にベッドの必要性を強調。「避難者全員への提供が必要。ベッドがあれば床から離れることができ、ほこりやウイルスが半減し、血栓の発生も減らすことができる」と指摘しました。
土屋さんは「激甚化・広域化する豪雨災害―水害から命を守るために―」と題して講演。「近年の水害では100年に1回と想定していた計画降水量を超える大雨が降っている」と指摘。
“100年、200年に一回”クラスの洪水を想定した築堤や分水、貯留施設の整備を進めること、定期的なしゅんせつや伐採など河川の維持管理、現実的な避難計画と分かりやすいハザードマップの整備などを提案しました。
(新聞「農民」2020.11.30付)
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