「農民」記事データベース20201130-1435-02

農水省の作為的答弁
国会審議の正当性ゆらぐ

「日本の種子を守る会」アドバイザー
印鑰智哉さんが指摘

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 農水省はこれまで「種苗法改定で自家増殖に許諾が必要となる登録品種は1割程度しかないので(米の場合は16%程度)、生産者には法改定の影響は少ない」と説明してきました。しかし農水省の米穀の品種検査量のデータを元に計算すると、登録品種の割合は2018年のデータでは33%となると、「日本の種子を守る会」アドバイザーの印鑰(いんやく)智哉さんが指摘しています。

 さらに、印鑰さんがその農水省のデータを精査したところ、登録品種の「コシヒカリBL系」が、一般品種の「コシヒカリ」として合算されていた、というのです。

 現在、新潟県で栽培されているコシヒカリは、ほとんどが「コシヒカリBL系」です。その実態に合わせて印鑰さんが計算し直したところ、生産量の40%は登録品種となりました。富山県でも登録品種のコシヒカリ富山BL系が栽培されていますが、一般品種に合算されています。

 初代「コシヒカリ」は一度も品種登録されませんでしたが、コシヒカリを親とし、名前の一部にコシヒカリを冠した改良品種はこれまで77品種が開発され、そのうち70品種が品種登録され、68品種は今なお登録品種です。

 また同様に、愛知県では登録品種の「あいちのかおりSBL」が生産量の55%を占めますが、農水省の統計データではこれも一般品種の「あいちのかおり」として合算しています。

 農水省は登録品種の占める実際の割合を示さずに、「農家に大きな影響はない」と説明していることになり、国会審議の正当性が問われる事態です。

(新聞「農民」2020.11.30付)
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2020年11月

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