緊迫
種苗法改定案
参考人質疑
自家増殖の原則禁止は
日本農業の未来を奪う
種苗法改定案を審議する衆議院農水委員会で11月12日、参考人質疑が行われ、茨城県竜ケ崎市で水稲を約160ヘクタール耕作する横田修一さん、「日本の種子を守る会」アドバイザーの印鑰(いんやく)智哉さんの2人が意見を述べました。
海外流出防げない
印鑰さんは、海外流出防止のために自家増殖を禁止するという政府の説明は根拠が乏しいこと、改定法案には許諾料の規定がないことや、各産地の主力品種は登録品種が多く、農家への影響は政府の説明よりずっと大きいこと、自家増殖の禁止は種苗の多様性を危うくすること、などを指摘。「法案の内容をほとんどの農家が知らない状態で、拙速な審議をしないでほしい」と求めました。
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意見を述べる印鑰さん |
また、「今後、法改定をきっかけに許諾料が上がる可能性はないか」との日本共産党の田村貴昭議員の質問には、印鑰さんは「米でいえば今は種子代がコストの2パーセントだが、都道府県の育種事業が弱体化し、民間企業の種を買うしかなくなれば、10倍になることも十分ありうる。これは実際に世界で起きていること」と述べ、すでに主要農作物種子法が廃止された下で米や麦、大豆などの品種の存続や多様性が危ぶまれており、許諾料も時間をかけて上がっていく可能性を指摘しました。
国民民主党の玉木雄一郎党首は、「(改定の)中身を理解してもらうことがやっぱり大事だと改めて思った」と述べ、参考人2人に農家への改定法案の内容の周知状況を質問しました。
公的機関での開発品種の重要性に関しても質問し、参考人の横田さんは、「民間の育種企業の利益にはならなくとも、長期的な気候や病害虫、需要の変化などに対応しながら安定経営していくには多様な品種が必要であり、それができるのは公的機関だと思う」と述べました。
この日の参考人質疑には座り込み行動の参加者も多数、傍聴に参加し、傍聴者席を埋め尽くしました。初めて国会傍聴するという人も多く、議場ルールでは拍手が禁止されていることを知らなかったため、印鑰さんの意見陳述後には傍聴席から大きな拍手が沸き、異例の事態に議員席からどよめきが起きる、という一幕もありました。
(新聞「農民」2020.11.23付)
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