「農民」記事データベース20201109-1432-10

発見
農の現場から

山口県農民連会長
原田正暁(しょうあき)


農業が地域経済の要になるよう運動を

 私が居住している山口市小鯖(おさば)では、今年大量のウンカが発生し、農薬の効果もなく農家は昨年に比べ半分以下の減収となり、小米が多く、出荷できる米はわずかでした。

 持続化給付金で農民連が喜ばれ

 このため新型コロナと害虫被害が重なり、離農したいとの声も耳にします。山口県農民連はこの苦境を乗り切るため、10月22日に持続化給付金の申請に向けた学習会を開きました。こうした農民連の活動は農家から大変喜ばれており、申請が実現すれば会員や新聞「農民」の拡大にもつながります。

有機農産物を給食に

 昨今の農業情勢は厳しく、法人も小規模農家も後継者が不足し、耕作放棄地が増えています。私は10年前にサラリーマンを定年後、母が運営していた「ふるさと出会い市」(組合員38人)の経営の継承や、おさば有機農業研究会(会員10人)を立ち上げ、農薬や化学肥料を使用しない環境保全型農業に取り組んでいます。

 これには国の助成もあり、生産者や消費者からは「安全なものが食べられる」と喜ばれ、今は地元小学校へタマネギとジャガイモの有機農産物を出荷しています。

 今後は児童らに米も食べさせたいと思います。農民連食品分析センターの検査等からもわかるように、子どもらが安心して食べられる食品が少なくなり、これを心配する声が多く聞かれます。2年前に有機の仲間で山口市有機農業推進協議会産直部会を設立し、私も役員として活動しています。有機農家を増やし、市内の販売協力店で消費者に安心して食べられる農産物を提供できるよう進めています。

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有機栽培の現地研修の様子

 森林破壊するメガソーラー計画

 今地元で発生している問題は、36ヘクタールの森林を伐採するメガソーラー(大規模太陽光)発電による環境破壊です。私は「小鯖の自然環境を守る会」を立ち上げ、建設反対や防災工事を徹底するよう署名を集め、県に要請しましたが、国や県の規制が緩和されたことから計画は止まらず、同様の開発事業が県下数カ所で進められています。大雨のたびに砂が流出し、九州豪雨並みになれば、下流住民の命と生業に影響が出るのではと心配です。

 牛肉・オレンジの自由化が始まり、食糧管理法が廃止され、今は米まで輸入されています。このままでは日本の農業は守れません。農業が地域経済の要として発展するよう地域から生産者と消費者それにJA・行政等とも連携し、運動を進めたいと思います。農業は公共事業であり将来を担う子どもらのためにも守らなければなりません。

(新聞「農民」2020.11.9付)
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2020年11月

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