「農民」記事データベース20201102-1431-03

寿都町、神恵内村 文献調査に名乗り

“核ゴミ”最終処分場

北海道農民連 要請書送付
食の安全・安心に反する


税金と電気料金を使った
弱い者いじめは許さない

画像  人口2900人の漁業の町、20キロ対岸に泊原発がある北海道寿都(すっつ)町が「核のごみ最終処分場の文献調査応募を検討」と、8月13日の道内地元紙が報道し、全道に衝撃を与えました。

 寿都町長は「調査を受けると最大20億円の交付金が出ることが応募の理由」と述べています。

 すぐに漁協、近隣の町村長、自然保護団体など幅広い団体、個人から「北海道に核のゴミ持ち込みにつながる文献調査反対、撤回を求める」の声明、抗議などがだされ、21日には寿都町民の反対署名活動が始まり、「小さな町で異を唱えることに勇気がいる」なかで、1週間で町民の24%が署名しました。

 北海道農民連は常任執行委員会で議論し、「食の安全安心に反する核のゴミの持ち込みにつながる文献調査の応募の撤回」を求めた要請書を、8月25日寿都町長と寿都町議会議員全員に送付し、マスコミに発表しました。寿都町長は9月に「文献調査応募表明」を予定していたようですが、相次ぐ文献調査応募への批判・抗議で、できなくなりました。

 核のゴミが道農産物に計り知れない影響を与えることが明らかにも関わらず、北農中央会会長が「不透明な状況なので、コメントは避ける」と、28日の記者会見で明言を避けたことは残念と言わざるをえません。

 9月8日、泊原発からわずか10キロの神恵内(かもえない)村の商工会も、村議会に文献調査の応募検討を求める請願をだしました。神恵内は、人口約800人余りと道内で2番目に人口が少ない村です。

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停止中の泊原発

 核のゴミ処分の文献調査で最大20億円、第2段階の概要調査で最大70億円の交付金が支給されます。財政難に苦しむ小さな自治体を、「エサ」で釣り上げる国のやり方は、弱い者いじめにほかなりません。文献調査、概要調査、精密調査に10年以上かかり、核のゴミ最終処分場は、地上部が北海道大学構内の広さ、地下施設は地上部の5倍、建設費は3兆8000億円といわれ、とてつもない巨大施設で、延々と税金と電気料金で国民から吸い上げる仕組みとなっています。

 10月8日に寿都町は、原子力発電環境整備機構(NUMO)に文献調査に応募し、11日には神恵内村が、国の文献調査申し入れを受諾する文書を提出し、核のゴミを持ち込ませないたたかいは、新たな局面に入りました。

 寿都町の「子どもたちに核のゴミない寿都を!町民の会」は、応募の是非を問う住民投票条例制定を求める署名を集め、法定数を大きく上回り提出。11月3日に「原発ゼロ」を訴える小泉純一郎元首相の講演会を計画しています。

(北海道農民連書記長 富沢修一)

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(新聞「農民」2020.11.2付)
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2020年11月

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