「農民」記事データベース20201026-1430-18

ウンカ被害拡大

現地ルポ 山口県農民連 岡村昌平さん


山口 下関市 収穫皆無の水田も
「資材代金払えぬ」「米作りやめる」

 本州の西の端に位置する山口県下関市は、8月に入って、あちらこちらでトビイロウンカによる「坪枯れ」がみられるようになりました。

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「坪枯れ」の被害が生々しい水田があちこちに

 山口県病害虫防除所は、8月3日付で病害虫発生予防の「警報」を発出し、トビイロウンカに対する注意を農家に呼びかけました。県が8月下旬に実施した調査では、平年の26・3%に対して、今年は85・9%のほ場でウンカの発生を確認しています。

 ウンカの被害を受けた農家は口々に、「農協の指示通りに2回防除したが駄目だった」、「ウンカが見えた時、追加で農薬を散布したが駄目だった」と言います。

 また、「収穫が皆無で、米を知人から購入した」、「農業所得はゼロ。これから農協への資材代金の支払いを思うと気が重い」、「収穫は事実上、全滅なのに、共済は100%を補償してくれない」、「共済金はいつごろ入るのか」など、水稲農家は例年にない被害に途方に暮れています。中には、「もう米作りを辞める」という農家も出ているほどです。

 米の作況指数も非常に悪化しており、下関市で「82」となっています。

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坪枯れどころか、全滅状態の水田も

共済は減収3割は補償されず
上乗せ助成し、救済策の強化を

 ウンカ被害について、山口県農民連の執行委員を務める下関市の江原満寿夫議員は、「農業共済制度はあるが、減収の3割までは補償の対象にならず、全滅状態でも、金額ベースに換算すると補償は4割程度になっているのが実態だ」と話しており、9月議会でも「ウンカ被害で離農者が増え、農地の荒廃が進むとの懸念が地域で広がっている。農業共済金への上乗せの助成を検討すべき」と、この問題を取り上げ、農家への支援を求めました。

 市長は「稲作に携わっている方々のご心痛は本当に大変な状況」と言いつつ、「必要に応じて支援策を検討していきたいと考えています」という他人事のような回答でした。

 農民組合では引き続き、被害農家への支援を求めて運動を強めていく方針です。

(新聞「農民」2020.10.26付)
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2020年10月

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