旬の味
スーパーボランティアといわれる尾畠春夫さん(80)が大分県の天ケ瀬温泉に駆けつけ、「ひとかき泥を運び出せばひとかき分けだけ家の中がきれいになる」と語り、手押し車に泥を山のように積んでいる姿がテレビに映し出された▼たとえわずかな作業でも繰り返し行えば、いずれは目指すところにたどり着く。尾畠さんは、それを実行していた。コロナ禍のなかでずい分生活様式が変わった。午前中は、「人様の幸せのために」と動いていた生活が自宅待機となり、「自分のために」と時間をかなり使うことが多くなった▼今日は、この部屋を、今日はここを。そして洋服ダンス、整理ダンス、和ダンスと向き合った。その和ダンスのなかに結婚するときに両親が持たせてくれた何枚もの着物がある。今、その着物を一枚一枚ほどいて洋服に仕立て直しを始めた▼軽やかになるミシンの音とともに、娘の幸せを願って一枚一枚作ってくれた今は亡き両親に感謝の心を呼び覚ましていただいた、もったいない時間だった。 (志)
(新聞「農民」2020.10.12付)
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[2020年10月]
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