農家が得する
税金コーナー
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新型コロナ感染症と税金
持続化給付金は農業所得雑収入
いま、全国で取り組んでいる「持続化給付金」は農業所得の雑収入になります。
新型コロナ感染拡大で販売価格が低迷したり、販売先がなくなり収入減となっている場合、経費はすでに使っているのでその赤字を補てんする場合は、税金はかかりません。給付金が赤字分を超えた場合、年度中に農業経営のために使用しないと来年度の所得税・住民税・国保税が高くなります(7月6日付と7月27日付新聞「農民」の「持続化給付金Q&A」に掲載)。
給付金の本来の目的である農業を持続化させるため、農機具や作業場の修繕費、必要な農具の更新に活用しましよう。20万円以上の農機具を購入すると、今年分の減価償却費しか経費にならないことに注意しましょう。
事業所得になるのは「家賃支援給付金」、「経営継続補助金」、「雇用調整助成金」、「小学校休業等対応助成金(または支援金)」、「肉用牛肥育安定特別対策交付金(マルキン)」です。
自治体の助成金も課税対象に
新型コロナ感染症の影響にともない地方公共団体から個人に支給された助成金(商品券を含む)は、所得税の課税対象になります。
事業に関連した助成金は事業所得に、事業に関連しない助成金で臨時的に一定の所得水準以下の方に支給される一時的なものは一時所得(50万円の特別控除が適用)、それ以外は雑所得になりますが、一般的な給与所得者については、給与所得以外の所得が20万円以下の場合は確定申告の必要はないこととなっています。
「持続化給付金」でも、給与所得者向けは一時所得、雑所得者向けは「雑所得」に区分されます。
非課税所得は、支給の根拠法が非課税と定めるものと新型コロナ税特法による非課税があります。前者は、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金(または給付金)」、後者は「特別定額給付金」、「子育て世帯への臨時特別給付金」が該当します。
感染拡大の損失 3年繰り越し可
新型コロナ感染症により「事業用資産に生じた災害による損失等」として扱えるものは、飲食業者等の食材(棚卸資産)の廃棄損、感染者が確認されたことで廃棄処分にした器具備品等の除却損、施設や備品などを消毒するために支出した費用、感染発生防止のために備蓄するマスク、消毒液、空気清浄機などの購入費用、イベント中止等により廃棄せざるをえなくなった商品などの廃棄損など「被害の拡大・発生を防止するために緊急に必要な措置を講ずるための費用」が該当します。
この「事業用資産に生じた災害による損失等」は、白色申告の場合でも、農業所得の赤字を他の所得と損益通算してもなお控除しきれない純損失のうち、その損失分に限って翌年以降3年間にわたり繰り越して各年分の所得金額から控除できます。
法人が、子ども食堂やフードバンクなどへ新型コロナ感染症対応として食材を提供した場合、提供に要する費用を損金に算入できます。条件は「不特定または多数の生活困窮者を救援するために緊急、かつ、今般の感染症の流行が終息するまでの間に限って行われるもの」です。
(新聞「農民」2020.10.5付)
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