牛肉価格下落
コロナ禍で長期化
畜産農家へ抜本的支援を
生産者負担金免除、10月以降も
農水省に農民連が要請
コロナ禍での需要減少で牛肉の価格下落が続いている問題で、農民連は9月8日、畜産農家への抜本的支援を求めて農水省に要請しました。
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支援を訴える吉川利明事務局長(こちら向き前列左から2人目) |
肥育牛の価格下落時の対策としては、販売額が生産費を下回った場合に差額の9割が補てんされる「肉用牛肥育経営安定交付金(牛マルキン)」制度があり、事業費財源は国が4分の3、生産者負担金が4分の1となっています。国はコロナ対策の一環として、生産者負担金を4月から9月までの半年間、実質免除する措置をとってきました。
しかし価格下落の長期化で生産者積立金が不足し、畜産農家への交付額が国費分の67・5%に削減される都道府県が全国で35にも及んでいます。
農民連は要請で、10月以降も生産者負担金の免除措置を継続するとともに、現在、国費分だけとなっている交付金を減額しないこと、コロナ禍という異常事態に鑑み、畜産農家に対し、従来政策の枠組みにとらわれない、抜本的な支援策を講じることなどを求めました。
農水省は、「コロナ禍が長期化しており、10月以降も生産者負担金の免除措置は継続する」と回答。農民連は5月以降、牛肉下落対策を求めて4回もの要請をし続けており、これはその大きな成果です。しかし一方で「交付額の減額は制度上、致し方ない」と述べるにとどまりました。
交付金が減額されている岩手県からインターネットを介して要請に参加した岡田現三事務局長は、「岩手では1頭あたり14〜16万円も減額されており、減収分にまったく見合っていないばかりか、日々の飼料代も厳しい現状だ。無利子貸し付け制度があるが、返す見通しが持てず、このままでは年が越せない農家が続出する」と、現場の苦悩を訴えました。
また農民連から「このままだと国費分だけに減額される県がもっと増えると予想されるが、国として対策は取らないのか」との声があがりましたが、農水省は「生産者負担金免除を申請しなければ満額交付となり、免除を申請するか否かは県の判断」と述べ、従来政策を一歩も出ない姿勢に終始しました。
畜産を続けたい なんとか支援を
インターネットを介して参加した島根県で繁殖と肥育を一貫経営する40代の畜産農家は、「生き物相手で不測の事態も多いのが畜産業。国は若い人が畜産を続けていけるよう、なんとかして支援してもらいたい。『コロナ禍で多くの離農者が出ても国は何もしてくれなかった』と言わずにすむよう、力を貸してほしい」と訴えました。また福島、宮崎からもリモートで現地から訴えました。
日本共産党から紙智子参院議員が同席しました。
(新聞「農民」2020.9.21付)
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