分析センター
ネオニコ知の井戸
(2)
たばこのニコチンを元に開発された
ネオニコ系農薬のあり方問われる時期に
ネオニコチノイド系農薬とはどのような歴史を持つ農薬なのでしょうか。ネオニコチノイド、このカタカナ名をよく見ると、聞き慣れた単語「ニコチン」という文字が隠れていることに気がつきます。
ネオニコチノイド系農薬は、たばこに含まれる成分としてもよく知られているあのニコチンを元に開発されてきたものです。たばこの葉っぱを水で溶き、散布すると殺虫効果が得られることは広く知られており、戦前まで殺虫剤として使われていました。しかし、このニコチン、虫によく効きますが、人にも高い毒性を持ち、農産物生産に使用するには危険がともないます。なにしろ日本の「毒物及び劇物取締法」では毒物に登録されているほどです。
ニコチンの高い殺虫作用と人への低毒性を両立させた新農薬の開発をテーマに世界で研究がつづけられ、1993年、日本の会社が初めて実用化させたのが、ネオニコチノイド系農薬のイミダクロプリドでした。ニコチンにならった構造と作用の仕組みをもつことから、このタイプの農薬をまとめてネオニコチノイド(ネオ=新しい+ニコチノイド)と呼ぶようになったというわけです。
戦後普及したDDTなどの有機塩素系農薬は、化学合成農薬のすごさを知らしめましたが、人体や環境への影響が大きいため使用禁止となり、有機リン系農薬に変わっていきます。そして、その有機リン系農薬も、やはり同様の影響性からネオニコチノイド系農薬にその座を譲っていきました。
ネオニコチノイド系農薬も、同じように、歴史の流れの中で、そのあり方を問われている時期に来ているのかもしれません。
(新聞「農民」2020.9.21付)
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