米価下落阻止に向けて
さらに運動を強めよう
米価下落は非常事態
国が責任もち対策を
2020年産米を「JAグループが20万トン隔離」と報道されました。
内容は、2020年産米の市場への供給量を減らすため、国の周年供給・需要拡大対策を活用して、20年産米のうち来年11月以降に20万トン分の販売を遅らせ「隔離効果」を狙うものです。
この間、いち早く米価が下落する危険を訴え、政府に3度にわたって要望し、JA全中(全国農協中央会)、全米販(全国米穀販売事業共済協同組合)など関係業界への協力要請に取り組んできた農民連の運動を反映した「一歩前進」の動きです。
米業界からは、「20万トン隔離」報道に対し、「価格下落を抑える効果はある」と評価する声がある一方、9月15日の作況次第では、20万トンではまったく不十分と言われています。
しかし、「20万トン隔離」をめぐる最大の問題は、来年産の主食用米生産量が20万トン分削減(生産調整)され、全中試算によると、コロナ禍による需要減を含め90万トンもの削減が迫られることです。また、来年11月以降には安い古米が供給されます。
コロナ禍により消滅した需要減少分は、国が責任をもって「過剰在庫」を市場隔離すべきあって、その責任を生産者・流通業者に押し付けることは許されません。
政府の責任による完全な隔離対策を求めて、引き続き全国各地から政府への要求運動を強めることが求められています。
農民連は10月1日に米価暴落阻止中央行動を行います。全国から刈り取り作業中のコンバインの上からもオンラインで参加しましょう。
国民大運動が農水省に要請
国民大運動実行委員会は9月8日、2021年の予算編成にあたっての申し入れを農林水産省に行いました。要請では(1)日本型直接支払の拡充、(2)「国連家族農業の10年」の実施計画の策定、予算化、(3)米価下落を防ぐための備蓄米の追加買い入れと備蓄米の新型コロナウイルスによる生活困窮者への支援に活用、の3項目について申し入れを行いました。
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要請書を手渡す吉川利明事務局長(左) |
新型コロナウイルスの感染拡大による需要減少で価格が暴落している米について、農水省は「7月末の食糧部会の報告を受け、感染拡大の影響を見極めている」と危機感に欠ける回答。埼玉農民連副会長の松本慎一さんは「稲刈りの真っ最中で品質も良いのに、農家も米業者も真っ青な顔をしている。それだけ米価下落の影響は深刻で、とにかく早く手を打ってほしい。国が責任をもって『対策をする』という明確な意思表示を」と要求しました。
(新聞「農民」2020.9.21付)
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