「農民」記事データベース20200907-1423-08

災害救済制度の抜本的拡充が急務


常態化する異常気象と農業被害

 異常気象が今夏も日本列島で相次いでいます。「異常気象」とは「30年に1回以下に起こる現象」(気象庁)のこと。

 「梅雨明け後、毎日水やりに追われている。でもわが家はまだいい方。周りには全滅した農家もいっぱいいる」――こう言うのは、長野県松本市の畑作農家、滝澤睦広さんです。気象庁の記録によると、松本市は8月に入ってから、ごく短時間のにわか雨が1回あっただけで、ほとんど雨が降っていません。

 滝澤さんは、主力の春・秋のセルリーの間作として夏はカリフラワーを作っています。しかし「7月の極端な長雨で根腐れした弊害が、8月の水不足に直撃されて顕著に出てきた。生育不良で球が小さい。生産者は収量減と品質低下で販売収入が半減近くなる」と言います。

 一方、かんきつ類の土佐文旦の産地、高知県土佐市では梅雨明け後、連日37〜38度という最高気温が続いています。

 土佐文旦産直協同組合の西森幹展さんは、「例年、夏の直射日光で木の外側の実は少し日焼けしてしまうのだが、今年の日差しと暑さは桁違い。日焼けした実も例年の2倍以上あり、しかも程度がひどい。幸い味は今後の天候で決まるので、1つでも多くの実を消費者に届けたい」と、猛暑のなか、1個1個の実に日差しよけのテープを付けるなどの対応に追われています。

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表面に丸い日焼けができた文旦の幼果。見た目が悪くなり、商品価値が下がる

 気象庁は8月20日に異常気象分析検討会を開き、7月の大雨は地球温暖化の影響があると指摘しました。今起こっている地球温暖化は、人間の経済活動が原因であり、その被害は単なる天災というだけでなく“人災”とも言えるものです。気象被害の常態化に対応した被害救済制度の抜本的強化が、緊急に求められています。

(新聞「農民」2020.9.7付)
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2020年9月

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