岩手県農民連
米価下落に強い危機感
県中央会と全7農協訪問
―組合長らと懇談―
政府は備蓄米の買い入れすべきだ
岩手県農民連は8月上旬、県農協中央会と県下すべての7農協を訪問し、米価下落対策をめぐる共同を求める懇談を行いました。
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岩手平泉農業協同組合での懇談。佐藤鉱一農協組合長(中央)と |
岩手県内は7月終盤から天候が回復し、猛暑のなかでの行動となりました。訪問先の農協組合長・幹部からは、作柄への期待と同時に、米「過剰」・米価下落に対する強い危機感が語られました。
米どころの農協では「昨年産の米はいずれも契約済みにはなっているが、なかなか出荷先が引き取らない。倉庫がいっぱいだ。農協の自前の倉庫だけでは足りないから営業倉庫を借りて保管しているが、この保管料だけでもたいへん」と深刻な実態が出されました。
問題は米代金の支払いです。「概算金(農家に事前に支払う米代)をどこまでふんばれるか。そのための資金繰りが必要だ」という心配も。あわせて「こういう時期だからこそ農協にものが集まるだろう。だから農家を支える支払いをしていきたい」と、ある農協幹部は決意を語りました。
農政への怒りに地域で共同探る
農政に対する怒りも高まっています。とりわけ、「主食用米から飼料用米への転換」に終始する政府の姿勢については「減反をきっちりやってきた産地として、いまさら主食用米をこれ以上削るというのはひどい」「新型コロナの影響という特殊な状況では、やはり備蓄米の買い入れなどをやってもらわないと大変だ」という声が相次ぎました。
そして「農業の事情を知る国会議員がいなくなった。現場の農協でやれることにも限界がある。今こそ政治が役割を果たさないと」と踏み込んだ話にも広がりました。
また、県南のある農協組合長は「新型コロナで世界的に食料不足だというのに、生産を抑えるような政策や、ギリギリでふんばっている農家に手を施さない農政でいいのか」と語りました。
私たちが「この間、TPP(環太平洋連携協定)反対の運動で消費者・労働者との協力も広がった。この非常事態に地域で共同していきましょう」と訴えると、「私たちも同じ考えです」と組合長は応えました。
(新聞「農民」2020.8.31付)
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