発見
農の現場から
三重県農民連会長 峯岡 繁
長梅雨にめげず特別栽培大豆に挑戦
菰野町
私は、三重県北部に位置し、鈴鹿山脈の主峰である御在所ヶ岳をはじめ、鎌ケ岳、釈迦ケ岳の美しい三山を背景とした豊かな緑の丘陵地と清冽(せいれつ)な溪谷に恵まれた菰野(こもの)町に住み、稲、小麦・大豆を合わせて2・6ヘクタール耕作する農家です。
地域の集落には約50ヘクタールの水田があります。
6年前に私たちは集落の仲間6人と営農組合を設立、経営面積は全体で約6ヘクタール余ですが、小麦、大豆の作付け・収穫を中心に作業の共同化と農機具の共同購入などを広めています。
長引く梅雨で大豆播種遅れる
大豆播(は)種の適期は7月中旬ですが、今年は長梅雨で播種が大幅に遅れ、8月に大幅にずれ込みました。私たちは、JAみえ北農協の呼びかけで、今年も環境保全型の「特別栽培大豆」に挑戦します。
「エコファーマー」認定を取得し、有機物資源活用での土づくり、化学肥料、農薬を削減し、鶏ふんなどの堆肥・有機肥料を使用。雑草防止へ適期の中耕(草削り)で防草し、安全・安心の大豆(フクユタカ)栽培に励んでいます。
この特別栽培大豆は、県内の有限会社スズカ川北食品が菰野町の学校給食へ豆腐、油揚げにして納めています。また、有限会社弓削銘水堂とともに愛知県一宮生協に豆腐、油揚げ、豆乳を販売し、好評です。
奥野食品もネット販売を広めており、環境保全栽培大豆は不足気味です。私たち生産者も、消費者の期待に応え、作業を工夫し、頑張っています。
貴重な環境保全する地域の担い手を確保
獣害防御柵の畦草刈り
私たちの地域はきれいな山麓と水に恵まれた農地ですが、イノシシ、シカ、サル等による農産物食害が年々増加し、国・自治体の補助のもと農家総出で水田周囲を“防御柵”で囲い込みました。この事業は獣害防止に一定の効果がありました。
予想されていたことですが、防御柵設置により農家の大仕事である畦草刈りが、大きな悩みになっています。
車道に接した畦に柵が設置されて、大型草刈機は使用できず、水田に足を入れながら柵に沿っての草刈りもあり、手間と労力が必要で、7、8月の草刈りは身にこたえます。
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防御柵の畔草刈りを行う峯岡さん |
水田の水路でヨシノボリ発見
草刈りの休憩時に排水路の堰水だまりをのぞいたらサワガニとイモリを発見。さらに目を凝らすとハゼ科のヨシノボリ3匹を発見。別の湧水につながる水路ではホトケドジョウを確認、これには思わず顔が緩みます。
地域の貴重な環境保全、農業・農村づくりに励める担い手確保、何よりも持続可能な農政を取り戻すことが求められます。
(新聞「農民」2020.8.24付)
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