「農民」記事データベース20200824-1421-07

Jヴィレッジの除染土5万立方メートル
住民に知らせず造成に使用


原発事故の対応拠点施設が営業再開

 国と東京電力が福島第一原発事故の対応拠点としていた福島県双葉郡楢葉町と広野町にまたがるスポーツ施設「Jヴィレッジ」。2019年4月20日から全面営業再開となりましたが、再開に向け、東電が行った原状回復工事(実質的に除染工事)でJヴィレッジから出た土壌(放射能濃度が1キログラム当たり8000ベクレル以下)5万2818立方メートルが、住民に知らされることなく造成に使用されていました。

 国の除染作業で出た除染土は放射能が8000ベクレル以下のものであっても国の管理下に置かれています。環境省は最終処分量の削減のために、除染土の再利用を計画し、実証試験を推進しています。

 環境省は実証試験の説明で、「使用する除染土は流出防止策をとる」「厳重に管理し、万が一流出した場合はすべて回収する」と主張。低レベルな放射線量であっても、管理が必要というのが国の姿勢でした。

 それでも地元住民の反対で二本松市や南相馬市では事業を断念し、飯館村の長泥地区でのみ行われています。この事業で使用されたのは800立方メートルで、今回東電は60倍以上の土壌を、地元住民に説明することすらなく、造成に使用したことになります。

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福島第一原発内の汚染水から放射性物質を取り除く多核種除去設備(ALPS)

 7月21日の福島県農民連による政府・東電交渉で、この東電による撤去土壌の流用について追及しましたが、環境省と東電は、「国の除染事業ではないので除染土ではない」「一般廃棄物なので問題はない」という姿勢です。しかし、使用した場所を東電に問いただしても「迷惑がかかるため、回答は差し控えます」というものでした。場所がばれたら迷惑がかかるようなものを、住民に黙って使用することこそが大問題です。

 福島県連の佐々木健洋事務局長は「同じ行為でも、環境省が作業すれば除染、東電の現場復旧作業は除染に該当しないなど、自ら法の抜け穴を利用するなど決して許されることではない。東電が行った『除染』により出された汚染土の再利用先を今後も追及していく」と話しています。

(新聞「農民」2020.8.24付)
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2020年8月

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