農家が得する
税金コーナー
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愛媛県農民連 森井俊弘会長
89万円の還付実現
愛媛県農民連の森井俊弘会長は、今年春の自身の事業(営業・農業・不動産)の消費税申告で、約89万円の還付を国から受けました。
消費税の納付税額の計算方法は、「一般課税」と「簡易課税」の2つがあり、仕入税額の計算方法が異なります。このうち「一般課税」は、売り上げにかかる消費税から実際にかかった仕入れにかかる消費税を差し引いた金額を納付します。差額がマイナスになれば還付を受けられます。
森井会長は、昨年3月稼働の、太陽光発電の設備投資で、約1200万円かかりました。この設備投資にかかる消費税を仕入税額として還付申告することを前もって準備。「簡易課税」では還付請求できないので、「一般課税」選択を税務署に届け出ていました。
「一般課税」にも対応できる『記帳簿』で
消費税の還付できた
森井さんは次のように話します。「一般課税でポイントとなるのは、きちんと記帳をしていくこと。自分の経営状態を把握し、改善するのにも役立ちます。大変だった点は、税率ごとの経費の仕分けでした。私の場合は、パソコンで領収書の金額を1件ずつ入力して記帳しました」「農民連の記帳ノートはよくできていて、きちんとつけておれば、青色申告にも、私のように消費税の一般課税にも十分対応できます」「トラクターや建物など高額の設備投資を予定する人などは、簡易課税よりも税額が安くなったり還付になります」
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集計表を手にする森井さん |
注意点としては、前年の年末までに、あらかじめ税務署に「一般課税」を選択する届け出をしておく必要があること、また、その課税対象の年を含めて3年間は、「簡易課税」に戻ることはできないことです。
トヨタ自動車などの輸出大企業は、消費税を1円も払わないどころか、おもな製造業13社だけでも約1兆円の還付を受けているという試算もあります。
森井会長は「国民、農家を苦しめる消費税ですが、いまある制度を活用して、われわれも経営とくらしを守ろう」と呼びかけています。
(愛媛県農民連 吉田泰臣)
(新聞「農民」2020.8.3付)
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