「農民」記事データベース20200803-1419-05

県民ないがしろ

結論ありきの海洋放出は許さない

福島県農民連が政府・東京電力と交渉


 福島県農民連は7月21日、政府・東京電力への要請行動を行いました。福島県連の本多芳司副会長は「原発事故から9年以上経過しましたが、福島にはまだまだ苦しんでいる人がたくさんいます。誠意ある回答を期待します」と述べ、ALPS(多核種除去設備)処理水の海洋放出を行わないことなど、12項目に及ぶ要請書を政府・東電に手渡しました。

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子どもの甲状腺検査の資料を手に訴える佐々木健洋事務局長

 ALPS処理水の問題で国と東電は「専門家による小委員会から2月10日に『海洋放出は技術的実績があり現実的な選択肢』と報告書が出ている」などと回答。しかし出席者から、「報告書が出たあとに、想定外の放射性元素の残留が発覚して、追加処理の方法も決まっていないのにどうするのか」「10年近くになるが、いまだに風評被害はなくならない。放出で風評被害が起きないよう対策すると言うが、具体的にはどうするつもりか」と厳しい指摘が相次ぎました。国・東電は参加者の指摘にまともに回答できず「まだ決定ではない。地元の意見を聞いて検討する」としか答えられませんでした。

 参加者は「陸上保管以外に福島県民を犠牲にしない選択肢はない」と重ねて訴えました。

 賠償問題でも「計算過程も示さず、『こうなりました』と紙1枚渡されるだけ」と、事故の被害者に寄り添う姿勢を見せない東電の姿勢を追及。「現場の職員は懸命にがんばっているが、本社の対応は年々ひどくなってきている」と被災者をないがしろにする東電に対し、改善を求めるとともに、経産省に対しても指導を求めました。

(新聞「農民」2020.8.3付)
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2020年8月

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