新型コロナ・米価下落・豪雨災害…
農家は不安がいっぱい
そんな今こそ
農民連で一緒に乗り越えよう
岩手
米価下落など影響は広範
給付金申請に産直や税金も
県連事務局長 岡田現三さん
新型コロナウイルスの感染者がまだあらわれない岩手県。しかし牛肉価格暴落をはじめとした農産物への影響も広がっており、とりわけここにきて米価下落に対する不安が高まっています。
これを受け花北農民組合では、集落営農や大規模農家など5軒を7月に訪問。米価下落の情勢を伝えると「確かに下がると聞いている」という反応が真っ先に返ってきます。そして、岩手県農民連農産物供給センターで取り組んでいる備蓄米出荷を紹介しながら産直への出荷をよびかけると、「価格が安定しているのが魅力だ」と、強い関心が寄せられました。小原昭栄組合長は「稲刈りが近づいたら、改めて念押ししたい」と意気込みます。
また、野菜の価格や出荷量などは堅調ながら、「直売所の売り上げが不調」という実態も。さらに「葬式も縮小、これから迎えるお盆もそんな感じだろう。切り花をやっている仲間はかなり深刻な減収になりそうだ」との声も各地で上がっています。
このようなもと、県内の農民組合は「新型コロナ対策相談会」を各地で開催しています。米内(よない)農民組合では、相談会に会員外の畜産農家3人が参加。「持続化給付金」の申請実務をしながらみんなと交流する中で「税金でもお世話になりたい」という話になりました。盛岡農民組合では、米産直要求で数年前に加入した仲間が、相談会で給付金を申請。「知り合いの農家にも知らせたい」と、制度紹介パンフを県連事務所に取りにきました。
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単組の役員会で話し合いを進めています |
岩手県農民連の久保田彰孝会長は「すべての農家が新型コロナの影響を受けている。持続化給付金の申請でつながった農家には、それにとどまらず色々な制度を紹介することが大切。米産直・税金なども漏らさず訴えて、農民組合に迎えよう」と語っています。
鹿児島
農民連で申請サポート
行政に働きかけ困難切り開く
大崎農民連事務局長 稲留光晴さん
7月以降の長雨で、私が住む鹿児島県大崎町では、ガソリンスタンドの裏山が崩れ、経営者の自宅やスタンドの敷地内に大量の土砂が流れ込みました。
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ガソリンスタンドに流れ込んだ大量の土砂 |
大崎町では昨今、町独自の災害救済策の見直しがされ、より被災者に寄り添った補助金に増額されています。この7月豪雨災害でも、家屋内に堆積した土砂の撤去費用の半額が補助されることになりました。
しかし豪雨災害はまだまだ被害の全容がわからず、農業の被害も明らかになっていません。さらに今、コロナ禍のもとで、多くの人々の生活がタブルパンチで貧窮しており、国の補償が欠かせない状況です。
大崎町では、新型コロナ対策でも町役場に国の持続化給付金の申請のサポートセンターを開設し、インターネット以外でも申請手続きをできるようにするなど、町独自の支援策ができました。
これは、鹿児島県農民連から国の持続化給付金の資料が届いたのをきっかけに、大崎町でもこの給付金制度の周知徹底を求めたのが始まりです。しかし持続化給付金はインターネットでの申請が基本で、町内には高齢者が多く、申請手続きに足踏みしている人が多いのが実態でした。
そこで、町役場に申請手続きに協力するよう要請。町もいち早く農民連の要請に応え、役場に申請のサポートセンターが開設されました。こうして農民連の会員にも「役場でサポートしているから、電話で予約を取り、申請に行って下さい」と呼びかけることができました。役場で申請手続きできた会員から「給付金を受給できた」との喜びの一報が入るたびに、一緒に喜んでいます。
さらに7月に入って大崎農民連の事務所でもインターネット環境を整え、近隣の町の農民連会員の申請もサポートできるようになりました。会員でない人も続々と紹介されていて、こうした方々に「来年からはぜひ大崎農民連に加入してもらいたい」と訴えています。
「大崎農民連に入ってよかった」との喜びの声が多く出され、そんな会員の声が私の活動の原点になっています。
(新聞「農民」2020.8.3付)
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