「農民」記事データベース20200727-1418-05

福島原発事故

住民から反対・懸念の声が噴出

処理水の海洋放出問題
東電が初の地元説明会


浜通り農民連併設
カフェ「野馬土」が会場に

 東京電力は7月14日、福島第1原発の処理水の海洋放出について、初めての地元説明会を相馬市のカフェ「野馬土」(浜通り農民連に併設)で開催しました。説明会にはNPO法人「野馬土」からの呼びかけに応えた住民11人が参加しました。

 東電からは廃炉作業の進ちょく状況やとトリチウム水の安全性など、海洋放出の経緯が説明されましたが、参加者からは、「汚染水は地上で保管すべきだ」「海洋放出されたら福島の漁業は崩壊する」という反対や懸念が相次ぎました。

海洋放出されれば福島の漁業は崩壊

 この地域ではノリの養殖も行われており、事故前は福島県産のノリは大半が三重県に出荷され、地元消費は5〜10%程度でしたが、事故後は地元向け販売のみの状況です。

 説明会に参加した地元のノリ養殖業の男性は「現在も風評被害は残っている。放出で被害は拡大する。東電は『対策する』と言うが、これまでの経過を見ても効果があるとは思えない」と懸念します。

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カフェ「野馬土」で行われた説明会

 ようやく操業が再開した福島の漁業に対し、東電は、「事故前の1割の売り上げに満たない日は賠償対象から除外する」という方針を出しています。しかも、将来は賠償の足切りを1割から引き上げる計画です。

 「福島産というだけで値が付きにくい状態だ。事故前の1割であれば何とかなるかもしれないが、足切りが引き上げられれば賠償の対象にもならなくなる。その状況なのに、さらに風評被害を招くような海洋放出は許されない」と指摘します。

 参加者は、「今回の説明会も放出ありきでガス抜きにやったようなもので、東電は『上に伝えます』というばかり。放出も賠償も根本から考え方を変えなくては、漁業はやっていけない。後継者を育てることもできない」と怒りの声を上げていました。

(新聞「農民」2020.7.27付)
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2020年7月

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