「農民」記事データベース20200727-1418-01

梅雨前線停滞

豪雨被害

農業に壊滅的被害

 梅雨前線の停滞による豪雨は農業にも壊滅的な打撃を与えています。福岡、熊本の両県からリポートします。


球磨川氾濫、支流まで
水田が水没、土砂も堆積

熊本 人吉市 熊本県農民連 大石 鋼さん

 豪雨は熊本県に大きな被害をもたらしました。とくにここ人吉市では、本当に大変な豪雨でした。

 3日夜から4日の午前10時頃まで猛烈な雨が一晩中降り続き、河川があっという間に増水。球磨(くま)川の堤防は至るところで決壊し、氾濫しました。本流だけでなく、小さな小川の支流まで氾濫し、水田も水没しました。

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球磨川の支流が氾濫し、土砂のたまった水田(人吉市)

 川辺川流域の水田は土砂に埋もれ、何十ヘクタールもの水田が、収穫できない状況です。昔は水田だった転作の葉タバコも水をかぶり、枯れ始めました。

 河川より少し高台にあったわが家には被害はありませんでしたが、水田が浸水しました。氾濫に見舞われた市中心部の市街地は復旧作業に追われています。農業にも多大な被害が出ていますが、行政も被災しており、その調査はまだまだ手つかずで、被害規模はまだわからない現状となっています。

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水田まで石が入り、流れた跡が痛々しい川辺川の岸辺(人吉市)


倉庫に80センチ浸水
冠水稲をジャンボタニシが食害

福岡 久留米市 山口常博さん(みのう農民組合)

 7月からの長雨では熊本の大水害に続き、私の住む福岡県久留米市筑後川周辺も堤防の「決壊」寸前でした。幸い私の周りでは床下浸水はあまりなかったようでしたが、生活道路はあちこちで浸水し、2日間ぐらい車も動かせませんでした。外出できず、ほかの集落の様子もテレビで見るくらいでした。

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畝もわからないほどに浸水した水田(久留米市)

 私の家は高さがあるので浸水は免れましたが、隣にある倉庫は、道路を挟んで流れる池田川が、ガードレールも見えなくなるほどに増水。倉庫の中にも浸水し、80センチの高さの棚が水に浸かりました。乗用車やトラクターなど動かせるものは近くの高い場所に移動させていて無事でしたが、内外のものがすべて水につかりました。

 水田は田植え後、20日ほどでした。まだ弱々しい稲で、浅水管理をしている状況でしたが、この雨により深水となったり、冠水した田も多く、ジャンボタニシの思いのままに食われています。

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倉庫にも浸水し置いてあった物は泥水をかぶった(久留米市)

 周りには野菜の周年栽培用のビニールハウスも多くありますが、小松菜などほとんど収穫できなくなっています。

(新聞「農民」2020.7.27付)
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2020年7月

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