過剰米買い入れで暴落防げ“コロナ過剰”米・欧は放置せず
地域の生産者、JA、米卸・小売業者と共同を市場の現実に目を向けない政府・自民党自民党の水田農業振興議員連盟は6月30日、2020年産米の需給調整の取り組み強化を政府に求める決議を行ったとの報道がありました。また、農水省は4月末に前年同期比13万トン増であった全国の民間在庫が5月末には16万トン増となる177万トンと発表しました。しかし、農水省も危機感を持ち、対策の検討は行っているものの、19年産米の市場隔離までの決断には至っていないようです。
そのためなのか、自民党水田議連もJAグループも19年産在庫と20年産作付け動向から需給緩和・米価暴落への危機感は共通するものの、効果が確実な備蓄米追加買い入れには触れません。要求しても国は絶対やらないと考えているのか、国が市場介入し、米価維持することが米の消費減少の原因だと本気で信じているのでしょうか。
「契約済み」主食用米まで飼料用米に転換?加工用米も主食用米と同様19年産が過剰在庫で20年産では減らさなければならなくなっています。飼料用米への転換しか手段がないような現在の需給対策では、新型コロナウイルスによる非常事態の米需給を安定化させることは不可能です。今最も大事なのは、現在の米需給の実態を踏まえた実効ある「出口対策」を行うことです。 今の困難の原因は新型コロナの影響による需要の消滅であり、計画通りに消化できない市場の現実なのです。 アメリカやEU、韓国では、需要の消滅によって過剰になった農産物を国が買い上げて、フードバンクなどを通じて困窮世帯や母子世帯などに無償配布しています。コロナ禍という非常事態のもと、日本でもこれぐらいのことを行うべきです。現に農水省は、備蓄米の一部をフードバンクへの無償提供に乗り出しているではありませんか。
国に実効ある対策を求め、要請・懇談を全国で米価下落阻止にむけて農民連本部と農民連ふるさとネットワークは、全国主食集荷協同組合連合会(全集連)や日本米穀商連合会(日米連)をはじめとして米穀関係団体や農業・食料・農村政策審議会食糧部会委員に対する懇談と要請を計画しています。要請内容は、(1)新型コロナウイルス感染拡大の影響で需要の「消滅」により生まれた19年産米の「過剰」在庫を備蓄米として追加買い入れを行い、価格下落を阻止すること、(2)過剰在庫の保管経費等について、産地・流通在庫ともに補助の拡充を行うこと、(3)20産米の飼料用米への転換にあたっては、生産者への産地交付金などの加算をはかり、主食用米並みの所得を補償すること――などです。 各地の集荷・卸・小売業者、消費者のみなさんとも協力し、都道府県をはじめ市町村、JAに対して、国への働きかけを求めて、取り組みを強めましょう。
(新聞「農民」2020.7.13付)
|
[2020年7月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224
Copyright(c)1998-2020, 農民運動全国連合会