「農民」記事データベース20200706-1415-20

旬の味


 沖縄は時折雷雨となる戻り梅雨の最中、慰霊の日を迎えた。私は当日の朝、地元の慰霊の塔敷地の清掃に当たった。すでに参拝に訪れた方々によるお花と線香、お茶やお酒などが供えられてあった▼竹ほうきで落ち葉を掃きながら地元の老婦人の話を思い出した。慰霊の塔のあるこの村は人口約400人の小さな集落で戦後この集落だけで1万柱の遺骨を収集した。多くの避難民が隠れる防空壕もなく被弾したからだ。地元の住民も45%の方が倒れた▼米軍が攻めて来る前に芋掘りをして軍に供出させられて自分たちは小さいひげのような芋しか食べられなかった。大切な乳牛も馬も供出させられて食べられてしまった。隠れた防空壕(ごう)は兵隊が使うと言って3カ所も出されて4カ所目の壕で手りゅう弾と火炎放射器の攻撃にあった▼子どもたちが泣き叫んだので攻撃がやんで壕から出された。兄弟と親戚の人が犠牲になった。看護手伝いの女子青年たちもガマから戻らなかった。私は清掃を終えて慰霊祭の告知放送をした。

(牧)

(新聞「農民」2020.7.6付)
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2020年7月

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