農家が得する
税金コーナー
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国保料(税)と住民税の
計算をしてみよう
新型コロナウイルス感染症予防のための直売所などの休業で大変でしたが、6月に入り国民健康保険料(税)と住民税(都道府県民税と市町村民税)の調定通知が届いたと思います。4月から6月までの国保料などは、昨年度の金額を参考にした「仮調定」です。3月(今年は4月中旬まで)に行った所得税の確定申告や住民税の申告に基づき今年度の納税額が計算され、仮調定と調整の上、通知されます。ほとんどの自治体の通知書には計算方法が載っています。
国保料と国保税は、適用法律が違い、条例も違います。時効年数や、差し押さえの順番に違いがあります。
国保料(税)には、「医療保険、後期高齢者支援分、40〜65歳には介護保険料」などが含まれます。
国保料の都道府県化で負担増に
課税方法は自治体により違いがあります。『税金対策の手引き』62ページに載っています。
国は、2018年に国保の運営を市町村から都道府県に移しました。狙いは、市町村の一般会計からの繰り入れをやめさせることにあるとされています。加入者から市町村が保険料を徴収し、市町村は都道府県に保険料を納付します。保険料率は都道府県で一緒にします。
しかし、市町村の状況は違いますから一気に保険料を統一することはできません。そのため「激変緩和」と称して7年かけて調整するとしています。市町村から都道府県への納付額は、所得水準、加入者数などで決まります。合わせて標準保険料率が、所得割と均等割、平等割の3種類で計算する3方式により示されました。
市町村は、納付額に合わせて保険料(税)を決定します。今後は国保料についての運動は市町村と合わせ、都道府県に向けることが必要です。
国の示す標準割合
表中「均等割総額」が悪名高い“人頭税”です。加入者1人当たりの保険料で、協会けんぽ等にはありません。
所得割額の計算は、住民税と同じように各種控除後の金額を「課税標準額」とする自治体もありましたが、15年の国保制度改定で「旧ただし書き方式」に統一され現在では98%の自治体で採用されています。
この方式は、所得から控除するのは基礎控除33万円のみです。また、世帯の国保加入者すべての人の所得についてそれぞれ計算し、合算することになります。「扶養控除」を取るより専従者給与(控除)を取れば給与所得控除がありますので、徴収額が少なくなります。
自主計算がより重要
今後3方式となり所得割の比重が高まります。「収入はごまかさず、経費はチリ一つ残さず」を基本とした自主計算・自主申告は、国保料にとってもますます大切となります。
国保料が年々高くなるのは、国の負担金が大きく減ったからです。全国知事会も「公費1兆円の投入で負担の軽減」を要求しています。運動の力で国保の改悪を押し返し、農家の経営を守りましょう。
(新聞「農民」2020.7.6付)
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