種苗法改定案
今国会の成立阻止
反対世論が国会動かす大勝利
運動広げ廃案に追い込もう
農民の自家増殖を原則禁止し、多国籍企業の種子支配に道を開く種苗法改定案は、今通常国会で審議すらできず成立断念に追い込まれました。農民、消費者、国民のたたかいの大きな勝利です。
農民連は、種苗法改定案の国会提出の動きが出た直後から、反対の請願署名を呼びかけました。コロナ禍で集会などができないなかでも請願署名は連日、束になって本部に届き、最終的に請願署名数は2万5834人分、その後呼びかけた電子署名も短期間で約1万7千人分が集まり、国会に届けられました。
反対・撤回を求める声の広がりは大きく、全国食健連、日本の種子(たね)を守る会などが意見書・声明を提出。地方議会でも種苗法改定案の取り下げ、慎重審議を求める請願の採択が広がっています。
こうした声を背景に、立憲民主、国民民主、社民の統一会派や日本共産党など野党は、「種苗法改定を今国会で拙速に通すわけにはいかない」ことで一致するなど、世論が国会も動かし、改定案は一度も審議入りすることなく、会期末を迎えました。
継続審議扱いに
しかし与党は、野党の「廃案にせよ」の声を押し切って継続審議扱いに。「次期国会で成立させる」との姿勢を崩していません。
たたかいはこれからです。引き続き、反対の世論と運動を広げ、改定案を廃案に追い込みましょう。
耕し続け食を取り戻す
日本の種子(たね)を守る会アドバイザー
印鑰(いんやく)智哉さん
今国会で即決されようとしていた種苗法改定が見送られたこと、農民連のみなさんの署名運動や各地域での請願や議員への働きかけが、国会に響いた結果だと思います。ありがとうございます。
この法改定の主目的はこれまで日本の農業を支えてきた公的種苗事業を民営化し、日本の農業を多国籍企業の支配に差し出すことであると考えます。国や都道府県の公的な種苗事業が育成した種苗は税金を使って、農家に安価で提供されてきましたが、これでは民間企業が参入できないとして税金の投入に攻撃が加えられるでしょう。公的な種苗事業は多国籍企業との競合にさらされ、農家はさらに負担を強いられ、離農を強要され、これまで地域の食を支えてきた地域の種苗がグローバルな種苗に置き換えられていくことでしょう。
表示義務のない「ゲノム編集」された種苗の登場にも警戒が必要です。種苗法改定によって脅かされるのは農家だけでなく、食を選択できなくなる消費者を直撃するでしょう。
今後、未曽有の気候変動が襲ってきます。地域の土にあった種苗は気候変動にも強く、地域の食文化も支えます。ウイルス感染により、グローバルな食のシステムが大きな影響を受けました。ポスト・コロナの時代は輸入に頼るグローバル化された食ではなく、地域で作られ、消費される食へと転換していく必要があります。
今後の私たちに必要なのは種苗法改定ではなく、地域の種苗を用いて育てた農作物を学校給食などで生かして、地域の食料自給率を高めていく政策ではないでしょうか? 多様で安心できる地域の種苗を育むためにはどんな政策が必要か、地域の育種家や種苗会社や、地方自治体で種苗事業に関わる人たちとも議論する必要があります。
食を取り戻すことはタネから始まります。耕し続けることで、「民営化」へと向かう流れをひっくり返しましょう!
種子抱える風土守って
関西よつ葉連絡会(大阪府茨木市)事務局長
田中昭彦さん
3月中旬、「種苗法改正の中止を求める請願署名の呼びかけ」がメールで届きました。その中で、政府が3月3日に種苗法改正案を閣議決定したこと、2021年4月の施行を目指していること、メディアにおける発信や消費者への周知が不十分なことなどが述べられていました。コロナ禍の中で、どさくさまぎれに法案を通してしまおうとしていることは明らかでした。
関西よつ葉連絡会のどこの現場もコロナウイルスへの対応で大変な時期でしたが、消費者会員の方にもできるだけ署名に協力してもらおうということになりました。署名の期限が3月末ということで、ほとんど取り組む期間もなかったのですが、それでも大変な時期に努力してくれた現場の職員、消費者会員のみなさんのおかげで、何とか集まった署名を農民連に送ることができました。
私たちは、現政権の目指す「大規模農業や強い農業」には反対している団体です。そうした動きとは反対に、地場の小規模農家と連携し「地場野菜、地場のお米」の取り組みを続けています。そして農民の種子への権利が制限されることは、農業・農作物の多様性と持続可能な農業への道を阻害するものだと確信しています。種子は自然のものであるとともに、人間社会の長い歴史、風土、営みをそのうちに抱えたものです。決して、特定の企業の知的財産(所有物)にしてしまってはいけません。
今回、法案成立が先送りされたことはよかったと思いますが、まだまだ闘いはこれからです。農民連とのおつきあいは、2005年に香港のWTO(世界貿易機関)閣僚会議における「農産物自由化」への抗議行動で、副会長の真嶋良孝さんに出会ったときからです。
そのとき以来、機関紙の交換など細々と続いてきた関係ですが、最近は、よつ葉の機関紙「よつばつうしん」に寄稿をお願いするなど、少しずつ交流が広がってきています。特に今回の署名の呼びかけには感謝しています。今後もおつき合いよろしくお願いします。
(新聞「農民」2020.6.29付)
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