「農民」記事データベース20200622-1413-01

コロナで需要が「消滅」

20年産
ストップ!米価大暴落

14年産大暴落と同様の事態が進行中


米の「備蓄買い入れ」求め
地域から大きなうねりを

 コロナ「在庫」無視、米価下落は生産者の責任に

 6月12日、農林水産省は、新型コロナ感染拡大の影響で2020年産の飼料用米等の取り組み手続きが遅延しているなどとして、取り組み計画等の申請期限を8月末まで、農家ごとの面積確定は10月19日まで猶予することを発表しました。

 6月10日には全中(全国農業協同組合中央会)が2020年産米の生産量が732万トンになるとの試算を公表。来年6月末在庫が202万トンとなり、適正在庫180万トンを「大幅超過」の可能性があり、JAグループとしては主食用米から、特に飼料用米への転換を推進するとしています。

 政府は、生産者の努力で2020年産の作付けを減らせば米価下落は避けられるとして、19年産在庫の存在と影響を無視しているかのようです。

 米業者に痛み、業界も困惑する米価「総崩れ」

 現在の市場取引価格は、5月末に(置場・税別)1万3千円を割り込んだ関東コシヒカリが6月11日には1万2千円にまで下落しており、関東のあきたこまち・ひとめぼれ、その他銘柄は1万1千円台にまで下落しています。それでも「買い」は入らない状態です。

 卸・小売りには新型コロナ感染拡大により、旅行の自粛や飲食店の営業自粛などの需要「消滅」による大量の在庫があるとともに、あまりにも急激な下落に、買うタイミングをも失っている状態です。

 米業界は19年産米の在庫処理が最大の関心事であることは例年と変わりませんが、古米の販売量が多くなればなるほど新米価格が下落することになります。

 全国の米農家にも米業界にも激しい痛みを与えた14年産米の大暴落は、12年末に発足した安倍内閣が13年産在庫を市場に放置したことから起きた「人災」でした。

 そして同様の事態が現在進んでいるのです。

 実需を反映した作付けでも「過剰」のらく印

 20年産米の作付けが「過剰」傾向であると報道されていますが、各産地、JAや農業法人などでは実需を反映した作付けの結果です。

 農水省はこれまで、「中食・外食等のニーズに応じた生産と安定取引を推進」「安定取引のため、事前契約・複数年契約の拡大」などを産地に押し付けてきました。

 この結果、毎年収穫が済んだ11月〜12月頃には、翌年産米の品種別の作付面積まで、需要者からの希望を踏まえて生産計画を立ててきました。

 しかし、突然のコロナ禍による需要の「消滅」により生まれた19年産在庫が計画を大幅に狂わせ、米業者としても20年産米の仕入れ、販売計画など立てられないのが現状です。

 新型コロナ対策としても備蓄米買い入れが必要です。政府の備蓄米買い入れが確実になれば、必ず市場は反応します。

 生産者・米業界などから要望を聞き、19年産流通在庫の備蓄買い入れ等の実施、少なくとも20年産備蓄米水準が確保できる飼料用米等への転換「加算」などを行うことで、20年産米への切り替えを早期に計画できるように国は支援を行うべきです。

 全国で、「米守れ、米価下げるな」の世論を生産者、JA、米卸・小売業者と一緒に大きなうねりとして起こしましょう。国に米の需給に責任を果たさせることが持続可能な米づくりの基礎を作ることにつながります。

(新聞「農民」2020.6.22付)
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2020年6月

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