一週間かけて煮上げたョ!
大切に伝えたい郷土の料理
大浦ごぼう
千葉 東総農民センター
今井睦子さん
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今では生産者減って貴重な伝統野菜に
千葉県大浦地方の郷土料理「大浦ごぼう」を、1週間かかってやっと煮上げました。
この「大浦ごぼう」は、千葉県匝瑳(そうさ)市大浦地区の粘土質の土壌でないと栽培ができない伝統野菜で、今では生産者も少なくなってたいへん希少なごぼうです。おとなの二の腕くらいの太さがあり、70〜80センチの長さで真ん中が空洞で、楕円(だえん)形になるのが特徴です。
毎年、暮れになると成田山新勝寺(成田市)の精進料理用に、契約栽培農家から奉納されます。なんでも平将門の乱(939年)の際に、これを鎮めようとした藤原秀郷が新勝寺で大浦ごぼうを供えて戦勝祈願し、勝利を収めたことから「勝ちごぼう」として郷土食に欠かせないものになったのだとか。次世代に大切に伝えたい、ふるさとの伝統の味です。
本来は冬が旬なのですが、3月に地域の有志で開催を準備していた交流イベントが新型コロナウイルスの影響で延期になってしまい、「一品持ち寄りの交流会に」と入手していた大浦ゴボウを土に埋めて保存しておいたものを、このコロナ禍の外出自粛でできた時間を活用してやっと掘り出し、料理しました。
今回は柔らかくなるまで4日ほどゆでて、空洞に昆布と鶏ひき肉を詰め、薄味から徐々にさらに3日ほどかけて煮含めました。
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長野・小緒市 布施和子 |
(新聞「農民」2020.6.8付)
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