若い農家と地元企業が協力し
農業の魅力発信
みのう農民組合
佐々木裕記さん(30歳、果樹農家)
福岡
福岡県うきは市の果樹農家、佐々木裕記さんはピオーネのジベレリン処理(種なしブドウを作る処理)と幸水の生育確認に精を出しています。今年、父親から経営を委譲され、梨の栽培面積を増やしました。「梨はJAに全量出荷です。梨で経営を安定させ、ブドウの面積を増やしたい」と佐々木さん。
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佐々木さんが丹精こめて育てる幸水 |
「コロナの影響が今後どう出るのか心配です。また、今年の梨は遅霜や降雪、降雹(こうひょう)などの被害が各地で相次いでいます。眠り症(低温期間が少なく木が冬眠から覚めない症状)もあり、全国的に収量は減るのではないでしょうか」とコロナや異常気象の影響を懸念します。
佐々木さんは今年からうきは市の4Hクラブの会長も務めています。コロナの影響で、新しい販路開拓の必要性を感じたのがきっかけで、「まごころ込めて作った農作物が適正な評価を受けられないことが、農業後継者が不足している要因では」と思い、農業という生業を再定義しようと考えました。
そのためには、異業種との提携が必須だと思い、4Hクラブと農業改良普及所、デザイン関係の地元企業が協力して、福岡市近郊の消費者に情報発信をしようと動き出しています。
「スマート農業がはやりですが、果樹はそうもいきません。人の手をかけて職人的な技術が必要になりますが、そうした農家は発信が上手ではないことが多いです。農業にひたむきに向き合う仲間を集めて、デザイナーにも協力してもらい、地元の魅力や、お金だけではない価値観の大切さを発信していければ」と意気込みます。
(新聞「農民」2020.6.8付)
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