検察庁改定案成立を断念へ
関連/権力の私物化許さない
民主主義の底力を示す
ツイッターなど世論拡散
「民主主義の底力を示した」――。政府・与党は、特定の検察幹部の定年を内閣の意向で恣意(しい)的に延長することを可能にする検察庁法改定案の成立を断念しました。「国民が声をあげれば政治が動く」ことを劇的な形で示しました。
改定案は、検察幹部の定年と、役職定年を、内閣や法相の判断で延長できる特例が盛り込まれ、政権にとって都合がいい幹部だけを選別して役職にとどめようとするもので、憲法の基本原則である三権分立や、検察の独立性・中立性を脅かすものです。安倍・自公政権は、今国会での強行成立を急ぎ、森友、加計、桜を見る会をはじめとする政権のさまざまな疑惑にふたをすることを狙いました。
新型コロナウイルス危機のもとで、国民に困難な自粛生活を強いながら、どさくさ紛れに強行しようとする、まさに「不要」で「火事場泥棒」的行為です。
これに対して、抗議の声が燎原(りょうげん)の火のように広がりました。国会では、野党が「強行採決するな」と改定案の問題点を一致して追及し、政府を答弁不能に追い込みました。
大きな力を発揮したのが国民の声です。コロナ禍でデモや集会ができないなか、ツイッターなどで600万を超える人々が反対の声をあげ、うねりをつくっていきました。俳優や歌手、文化人、著名人らも発信し、マスコミなどを通じて大きく広がりました。
また、元検事総長ら検察OB、東京地検特捜部OB、日弁連も改定案の再考を求める意見書を法相に提出するなど声をあげました。
こうした空前の世論に押されて、政府・与党は、成立を断念しました。
悪事は通用しません。改定案の焦点だった黒川弘務・東京高検検事長が、緊急事態宣言の真っ最中に賭けマージャンをしていたことを認め、辞任しました。同氏の定年延長を閣議決定していた安倍政権の責任は重大です。
さらに世論と運動を広げ、閣議決定の撤回、改定案の廃案、安倍政権の責任を追及することが求められています。
検察庁法改定案は廃案に
緊急国会前行動
「憲法9条を壊すな!実行委員会」などが共催で5月19日、「安倍政権は1000万の民の声を聞け! 検察庁法改定反対! 権力私物化許さない! 安倍政権退陣! 5・19緊急国会議員会館前行動」が開催され、600人の市民が集結しました。
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横断幕を掲げる参加者 |
集会の主催者あいさつで高田健さん(総がかり行動実行委員会共同代表)は「運動がここまで追い詰めたことは間違いない」としながら、「先送りになっただけで、まだ勝ったわけではない」と指摘。「秋の臨時国会での成立を許さないたたかいを進める決意を固めあおう」と呼びかけました。
集会では宗教者や女性、9条の会などから発言があり、「先送りではなく廃案」の実現まで粘り強くたたかう決意が語られました。
日本共産党の藤野保史衆院議員も集会で連帯あいさつを行いました。
(新聞「農民」2020.6.1付)
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