「農民」記事データベース20200525-1409-08

新型コロナのもとで米屋さんは…

金澤米店 砂金(いさご)健一さん 東京・台東区


学校給食食材キャンセル
業務用米の受注は「激減」

 農家からの米の引き取りも滞る

 新型コロナウイルス感染が拡大するなかで、3月からの小中高等学校の休校による学校給食食材キャンセルや飲食店関係の業務用米の受注「激減」が続いています。そのため、予定していた農家からの米の引き取りも滞っています。

 共同で農家と安定契約してきた小売店グループなどでも、契約分が消化できるか不安と困惑から逃れられていません。

 こんな状態のなか、同じ区内で3軒も中堅米屋が廃業したという話も伝わってきています。

 繁華街を主な商圏にしている米屋の中には、顧客にしている飲食店が休業して集金もままならず、苦悩はつきないとも言います。

 店から感染者が出たら…風評は致命傷に

 3月〜4月に計画していた米屋同士の勉強会もすべて中止になっていますが、連絡を取り合う中で、出されているのが、「万が一、店から感染者が出たり、お客さんから感染者がでたりすれば、食品を扱う店としては『風評』は致命傷になる」ということです。

 個人客の購買動向は、3月にはスーパーの棚からトイレットペーパーとともにお米が姿を消した時がありましたが、「備蓄買い」は一段落している様子です。

 ただ、騒動の中でお米にこだわりのある当店の消費者層も、いつもより多めの購入をしています。そのため、こだわり農法の農家では在庫がすでに底をついたという話も聞いています。

こだわりの米は購入多い
孫に炊飯スキル習得させる

 国民の命を守る姿勢が見えない政治

 新型コロナウイルス感染の拡大は、地球規模で拡大するグローバリズムの象徴のような大都市、武漢・ニューヨーク・東京などが舞台となって発生しています。

 大都市では多くの世帯が雇用者所得に「生きる糧」を頼っていて、多く人が満員電車に揺られて通勤しています。

 当初は、ライブハウスやイベント、居酒屋などで集団感染が多く発生していましたが、現在では感染者を受け入れた病院で医療者と患者への集団感染と感染経路不明の感染者が多くなっています。

 大都市の暮らし方は、カネで便利さと時間とモノを買ってきたのですが、新型コロナウイルスにその生き方が遮断され、否定されたといえないでしょうか。

 不思議なことに、優先度が高いはずのマスク・医療用防護服などの調達や現金給付は、のろのろでスピード感が全くありません。

 全国一斉の子どもたちの学習権と成長環境を奪う、突然の小中高休校要請と比べて、モヤモヤして腑(ふ)に落ちない。命を守ることを優先させるなら、妊婦さんに不衛生なマスクの配布などありえないことです。

 ごはんを炊いて家庭に「食」を取り戻す

 いま、長期間の休校で時間を持て余している小4の孫に日々付き合っています。

 狙っているのは、米研ぎ、炊飯スキルの習得です。これさえ、身に付ければ一生の宝で、「独立自営」の自活にも困らない。

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米のとぎ方もだいぶ慣れてきました

 今日、4軒に1軒しか子どもを台所に立たせていないといわれていて、3軒の子は、コンビニに頼るような生活をすることになりかねない。

 家族の食事の炊飯の役割を担い、その手間を楽しめれば一人前だ。ついでに、ごはんが主役の食事は、「具だくさん」みそ汁のだしとりや糠(ぬか)漬け造りなど「発展教材」も満載です。

 忘れてはならないのが、おいしいごはんは食卓の上で欠かせない主役なのに最も安価な食材だということです。小学4年生だと、お米の計算をさせることが算数と家庭科での一石二鳥の教材になります。

 お米1合は男茶わんで約2杯分、女茶わんで約3杯分。1キログラムは約7合ですから、2×7=14杯分、3×7=21杯分で計算すると写真の「早見表」のように茶わん1杯の値段もわかります。

 分搗(ぶづ)き米、魚介類、緑黄色野菜、きのこ・海藻類、発酵食品、良質な動物性たんぱく質、栄養をバランスよくとれる「日本型食生活」で自給率向に思いをはせ、「食育」の実践で家庭に「食」を取り戻しませんか。

(新聞「農民」2020.5.25付)
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2020年5月

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