「農民」記事データベース20200518-1408-05

使えるものは活用しよう!

新型コロナ対策
Part 1


 4月30日、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の補正予算が成立しました。

 対策は不十分な点もありますが、農業関係者が活用できる支援策もいくつか含まれていますので、複数回に分けて紹介します。一人の離農者も出さないために、これらの制度も活用し営農を守り抜きましょう。

 実質無利子の「特別貸付」制度

 対策には当面の資金調達の支援策があります。「持続化給付金」については前号(5月4日付)に掲載しましたので、今回は「特別貸付」について述べます。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、一時的な業況が悪化した方を対象に設備資金および運転資金を融資する制度で、日本政策金融公庫が取り扱います。通常の借り入れに比べ審査のハードルが低くなっています。特別利子補給制度を併用することで、3年間は実質的に無利子で融資を受けられます。

 借り入れ条件 最近1カ月の売り上げが前年または前々年比で5%以上減少した事業者(事業継続1年未満は別途条件があります)。

 融資限度額 個人事業者(農家)6000万円、中小企業(農業法人含む)3億円。

 利率(年) 3000万円(中小企業は1億円)を限度に、融資後3年までは実質無利子化。4年目以降は基準利率。

 返済期間 設備資金20年以内、運転資金15年以内と長い上、据置期間が最長5年以内と当面の返済が猶予。

 担保 無担保で融資可能。

 融資の借り換え 新たな資金と合わせて「公庫融資借換特例制度」の適用を受け既存融資の借り換えができます。

 また、「特別貸付」以外の資金(セーフティーネット資金、スーパーL資金、農業近代化資金等)の実質無利子化・無担保化措置も用意されています。

 国の問い合わせ窓口は中小企業金融・給付金窓口、電話 0570(78)3183 です。制度の利用を検討している方は、まず農協または取引のある金融機関で相談の上、問い合わせましょう。

 20%以上収入減 納税猶予1年間

 新型コロナ対策で国税、地方税を問わず、すべての税と厚生年金等の社会保険料について納税の特例猶予措置が設けられました。

 今年2月以降に1カ月以上事業収入が減少(前年同月比おおむね20%以上減)し、一時に納付することが困難な事業者は、無担保かつ延滞税なしで納税が猶予になります。今年の2月1日から来年1月31日の間に納付期限を迎える所得税や法人税、消費税、固定資産税などすべての税と厚生年金などの社会保険料が対象です。原則として1年間の猶予になります。

 収入には個人の事業売り上げや給与所得、不動産収入を含みます。一時所得は含みません。フリーランスやアルバイト、白色申告者も対象です。黒字であっても制度の対象となります。

 また申請時点ですでに納付期限が過ぎ未納のもの(他の猶予制度を受けているものを含む)も、さかのぼって対象になります。

 申請期限は6月30日、または納付期限(延長後の期限)の遅い方になります。収入や現預金のわかる資料が必要ですが、提出が難しい場合は口頭でも対応してもらえます。

 また、該当しない場合でも個別の状況により国税、地方税の納税・換価の猶予が受けられる場合があります。

(新聞「農民」2020.5.18付)
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2020年5月

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