横浜の保育園保護者らが
窮地の農家を応援・励ます
給食停止で苦境支える
産直ネットワーク
山形・庄内産直センター
コロナ対策、補償求める
更なるたたかいはこれから
新型コロナウイルスの感染拡大が農業にも大きな影響を及ぼす中で、学校給食の休止で窮地に追い込まれた農家を応援しようという動きが消費者に広がり、産地を大きく励ましています。
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設立25周年のイベントの1コマから |
資金繰りにも苦慮する事態
学校・保育園給食への米の出荷を事業の大きな柱としている山形県の庄内産直センターは、今回の学校給食停止で東京、神奈川の小中学校や特別支援学校約80校に供給予定だった3月分約15トン、年間事業高の約1割程度の注文がキャンセルとなりました。
産直センターの資金繰りにも苦慮する事態に陥るなかで、センターでは3月上旬から「少しでも転売先がみつかれば…」と、給食に米を提供している保育園や、農民連ふるさとネットワークなどに「応援米」として、キャンセルされた米の産直への協力を呼びかけ始めました。
農民連ふるさとネットも
労組などに支援呼びかけ
30年来続く強い信頼関係
これに熱い思いで応えてくれたのが、交流を重ねてきた横浜市を中心とする神奈川県内の保育園とその保護者とOBの皆さんです。30年来にわたる給食への米や山菜などの提供のほか、バスを仕立てての田植え・稲刈り交流、産直学習会、産直市、被災地支援にもともに取り組んだりと、単なるお客さんではない、食と農を守る“同志”ともいえる信頼関係を築いてきました。
その産直センターの危機に、「私の目標は1トンよ! なんとかこれくらいは注文をとりまとめるから、生産者の皆さんもがんばって!」と協力してくれた保育園の園長先生もいて、「こんなにも広く、熱く応援してもらえて、本当にありがたい。顔の見える、人と人のつながりの力を痛感しました」と、産直センター副組合長の小林隆範さんの感謝の言葉も力強いものがあります。
送り迎えの機会などに共同購入を呼びかけてくれた保育園や、ツイッターやフェイスブックなどを活用して「拡散」してくれた保護者もいたほか、卒園児の保護者からも数多くの注文が寄せられ、3月中だけでも8トンを超えるお米を出荷することができました。
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お米の注文はこちら |
キャンセル分とほぼ同量の出荷
また農民連ふるさとネットワークも労働組合や民主団体、運動団体などに呼びかけ、3トンを超える注文があったほか、地元テレビ局のニュースなどでも紹介され、インターネットからの注文が急増したりと、3月のキャンセル分とほぼ同量を出荷できたといいます。
学校給食以外の注文も激減して
しかし、「これからが更なるたたかいの始まり」と小林さん。緊急事態宣言で4月以降も休校が続き、補償の見通しもたっていません。また山菜など学校給食以外の注文も激減しているほか、夏のだだちゃ豆や果物類の出荷にも不安を抱えます。「米作りでは種まきの季節ですが、生産者と出荷の見通しについても悩む毎日です。やはり農業生産を守っていくには、国などの補償が必要です。応援してくださった消費者の皆さんの期待に応えるためにも、安全なもの作りもがんばります」と力強く語りました。
(新聞「農民」2020.4.27付)
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