発見 農の現場から
コロナ、異常気象、温暖化の下
千葉県農民連会長 越川洋一
自然生態系に合致した農業を追求
新型コロナウイルスが世界中を席巻し、住民の不安を大きくしています。4月7日に緊急事態宣言が発令され、千葉県は外出自粛が昼間も含め1カ月間呼びかけられたのです。
経済活動のグローバル化のもろさを露呈して企業活動がストップしています。国難と言われる事態です。これが輸入依存の食料分野で起こらないと言えません。
多国籍企業の利益優先、食料自給率を低下させ、農家を泣かせる政治は国民にとっての不幸に連動していると改めて認識を強くし、怒りを感じました。
台風被害の爪痕に生育不良、育ちすぎ
9月9日未明に県土を縦断したスーパー台風15号は経験したことのない風速50メートル超えを記録し、450億円を超える被害の爪痕を残して、水も電気もこない不便な日が何日も続きました。私はこんな一句を詠みました。
台風は水も電気も連れて去る
県南ではいまでもブルーシートをかぶったままの家屋が残っています。ビニールハウスの再建が進んでいますが、いまだ復旧復興の最中です。
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孫たちの未来のためにも農業の振興を(ピーマン栽培のハウスで、横芝光町) |
異常気象、温暖化によりこれからの作物栽培の環境が心配されます。1月の日照不足の下、トマトやきゅうりが着果しない、育たない、温暖化でネギなどが育ちすぎて安値につながっています。
国連の17の持続可能な開発目標(SDGs)、「家族農業の10年」決議、「農民の権利宣言」の実現が求められています。その中で自然生態系に合致したアグロエコロジーの運動こそ生産現場に求められていると思います。
生命の源、食料の質と量の確保を
自給率が37%まで低下した中で、食料の量と質の確保が重要視されていますが、戦後、化学肥料が万能となって以後、食べ物の栄養価は極端に少なくなっていると言われます。人間の命と健康に直結する食べ物、植物がすべての生命の源であるからこそ、植物の生理、成長の仕組みを科学的に捉えた有機農業を追求しています。
特に異常気象下での安定生産にタンパク質やアミノ酸、炭水化物など有機態で吸収されることの理解が必要だと思います。根っこから光合成で生成されるのと同じ炭水化物が吸収されるからこそ、収量も、おいしさも、栄養価も病害虫抵抗性も確保されます。
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出荷最盛期のカブ |
堆肥も土壌団粒の形成だけでなく水溶性炭水化物の供給という重要な役割を見込んで作り続けています。発酵天国と言われる酒、みそ、しょうゆ、チーズなどの発酵の技を使います。アカキン(光合成細菌)は乳酸菌、酵母菌などとの共生で大きな力を発揮します。そこで一句。
アカキンをほめれば
ツンと酵母菌
今年も千葉県連は光合成細菌の実践的学習会を持ち、家族農林漁業プラットフォームの立ち上げの中でも経営の安定を目指して生産技術の学習を進める考えです。皆さんの協力で大きな県連を作ろうと決意しています。
(新聞「農民」2020.4.20付)
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