青年、定年帰農者の入会相次ぐ
香川県農民連
農民連はいま全国で「春の仲間づくり大運動第2弾」に取り組み(4月16日まで)、各地で奮闘が続いています。今年の「大運動」で、青年、後継者が入会し、仲間を増やしている香川県農民連の取り組みを紹介します。
春の大運動第2弾
2015年5月に5人で立ち上げた、香川県の高松市農民組合。当初は、『農民連ブックレット』の学習が中心でしたが、仲間づくりに初めて取り組んだ17年に、大塚茂樹組合長の近所の40代の青年が入会しました。
引きこもり支援 農園で出会って
転機は薬師敏宏事務局長が耕作の拡大を始めた18年からでした。一挙に2ヘクタールにブロッコリーを植え付け、このために家族だけでは不可能となり、求人に奔走しました。
そこで結びついたのが、「春の大運動」で新しく入会した片岡勇人(はやと)君(28)でした。片岡君は今までの人生の半分を引きこもりで過ごしてきました。両親は農業とは全く無縁の家庭でしたが、引きこもりの人の社会復帰を目的にした「さぬきポレポレ農園」(さぬき市)の勧誘で1年ほど前から働き始めました。19年12月末に農園主催のバーベキューで初めて薬師さんと出会い、話がトントン拍子で進み、今は薬師さんの母屋を「寮」に職住接近の毎日です。
こうして薬師さんの勧めで農民連に入会し、今は「仕事がおもしろい」と目を輝かせています。
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片岡君(左)と薬師事務局長 |
ブラック企業をやめて成長実感
もう一人の入会者は、高松市農民組合の設立当初から、大塚組合長の農業を手伝っていた藤沢直人君(25)。彼は高校卒業後、ブラック企業に就業しましたが1年半で辞め、家事手伝いに。彼は親のつながりで農民組合の寄り合いにはいつも参加していましたが、入会はちゅうちょしていました。
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藤沢君 |
しかし、片岡君が入会したと聞くと即入会しました。その事情を聴くと「今までは年寄りばかりで、雑談の時も何の話をしているのかチンプンカンプンだった」と、居場所がなかったと率直に話してくれました。
大塚組合長は米を4・5ヘクタール、麦6・5ヘクタール、そしてブロッコリー1・2ヘクタールを作る農業の大ベテラン。大塚さんから「今年からは一人でブロッコリーを作るように」と促され、藤沢君も独り立ちの道を歩もうとしています。当初声も小さく、あいさつもままならない青年でしたが、今やきちんとあいさつもするし、声もハキハキとしていて、立ち居振る舞いに成長を実感しています。
計算会を開催し新たな会員入会
三木町農民組合では、組合員だった父親の死亡で、定年帰農した後継者に植村隆昭組合長が「一緒にやろう」と声をかけ、入会するといううれしい結果になりました。
こんな変化を作り出したきっかけは、今年1月の農民連全国委員会でした。仲間づくりの全国の経験を聞くにつけ、私自身が大きなカルチャーショックを受けました。全国では、地域ぐるみで仲間づくりをしており、香川県ではまだまだそこまでは行っていないと痛感したことでした。1月に開いた県代表者会議(役員会)での意思統一で仲間づくりを申し合わせました。こうして現在5人の会員が成果をあげています。
新型コロナウイルスで、確定申告が延長され、3月21日には読者を含めた計算会を高松市内で開催し、読者だった参加者が1人入会しました。さらに大きな農民連をめざしてがんばります。
(香川県農民連 福井利夫)
(新聞「農民」2020.3.30付)
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