「農民」記事データベース20200309-1399-13

農家の税金対策
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各所得控除の要件

 所得税の確定申告で、所得から差し引かれる金額(所得控除)については、「家族の分も引けるのか」が問題になりますが、『税金対策の手引き』34〜35ページにあるとおり、所得控除の種類によって、その要件は違います。

 ○雑損控除 本人または総所得金額38万円以下の生計を一にする親族が所有する生活用資産や業務用資産について、災害、盗難、横領によって損害を受けたときに適用できます。農業用減価償却資産など事業用の資産に対する損害は、雑損控除ではなく、農業所得など事業所得の計算で必要経費に算入します。

 ○医療費控除 本人または生計を一にする親族が支払った医療費が対象です。「医療費控除の明細書」の添付(2019年分までの経過措置として、医療費の領収書の添付または提示でも可)が必要です。通院のための公共交通費はメモが有効です。

 「セルフメディケーション税制」は、申告主がその年中に健康の保持増進及び疾病の予防への取り組みとして一定の健康診断や予防接種などを行っている場合に、本人または生計を一にする親族の「特定一般用医薬品等」の購入費を支払ったときに、その購入費から1万2000円を差し引いた金額(最高8万8000円)が控除額になります。通常の医療費控除との選択適用です。一定の取り組みを行ったことを明らかにする書類を添付または提示するとともに、特定一般用医薬品等購入費の額など定められた事項の記載のある明細書を確定申告書に添付する(2019年分までの経過措置として、その購入額を証明する領収書などの書類の添付または提示でも可)必要があります。

 ○社会保険料控除 本人または生計を一にする親族が負担すべき社会保険料を申告主が支払った場合に適用できます。公的年金から特別徴収されている社会保険料や口座振り替えで納付している社会保険料は、その年金受給者やその口座名義人が支払ったものとみなされます。国民年金保険料と国民年金基金掛金については、支払証明書の添付または提示が必要です(年末調整したものを除く)。

 ○生命保険料控除 受取人のすべてを本人またはその親族とする一定の生命保険契約等が対象です。契約者が誰であるかは要件とされていません。「一般の生命保険」「個人年金」「介護医療保険」の3種類に分けて計算します。一つの契約のなかに複数の種類がある場合、種類別に各々適用することができます。控除証明書の添付が必要です。

 ○地震保険料控除 本人または生計を一にする親族が所有する住居や生活に必要な家具などを対象とした損害保険契約等の一定の掛金について適用できます。「地震保険」「長期損害保険」の2種類に分けて計算します。一つの契約のなかに2種類ある場合、どちらか有利な方を適用します。控除証明書の添付が必要です。

(新聞「農民」2020.3.9付)
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2020年3月

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