第22回
大豆畑トラスト運動全国交流会
生産者と消費者が手を結び
国産大豆を守ろう
ゲノム編集・遺伝子組み換え大豆はいらない!
生産者と消費者が手を結び、国産大豆を支える大豆畑トラスト運動の第22回全国交流会が2月18日、都内で開かれました。主催は、「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」。気候変動や輸入大豆の増大に負けずに大豆の自給率を上げようとがんばっている生産者と、国産大豆を食べ、買い支える消費者との熱い連帯の場になりました。
はじめに、米と大豆の料理を囲み、昼食交流。秀明自然農法ネットワークのみなさんによる、種類豊富な大豆尽くしの料理に舌鼓を打ちました。
交流会では、キャンペーン代表の天笠啓祐さんによる「ゲノム編集大豆はいらない!」と題した講演で始まりました。
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講演する天笠代表 |
多国籍企業の種子支配許すな
冒頭、「種子とは、生命の根源であり、重要な食料。次の世代をつくる生命の源」と述べ、種子を支配することは世代を超えて食料を支配することになることを強調。種子の支配者として、カーギル社など穀物メジャー、ロックフェラーやビル・ゲイツなど巨大財団、モンサント社やバイエル社など多国籍化学企業をあげました。
遺伝子組み換え食品・作物の登場で、多国籍化学企業による食料支配がより顕著になり、(1)バイエル社がモサント社を買収(2)デュポン社とダウ・ケミカル社が経営統合(3)中国化工集団公司がシンジェンタ社を買収するなど、企業同士の買収・合併が相次いでいることを指摘。「3つのグループで、世界の種子と農薬の約6割のシェアを独占している」と告発しました。
種子の企業支配をさらに推し進めたのが、知的所有権(新品種保護制度と特許制度)の考え方で、それがUPOV(ユポフ=植物の新品種保護のための国際条約)として成立し、それを日本で具体化するために種苗法が制定された経緯を説明しました。
日本では、これまで米・麦・大豆など主要農作物の優良品種開発に都道府県の重要な役割を保障してきた主要農作物種子法(種子法)が2018年に廃止され、民間企業の農業参入がさらに進むことを批判。
安倍政権が、他の生物の遺伝子を組み込む遺伝子組み換え技術や特定の遺伝子の働きを壊すゲノム編集技術を推進している実態を述べ、2019年にはゲノム編集の開発を許可し、輸入を認めることを決定。アメリカで市場化されている除草剤耐性ナタネ、高オレイン酸大豆などのゲノム編集食品が最初に輸入される危険性を指摘しました。
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大豆料理で昼食交流 |
悪天候に負けずつくり続ける
大豆産地からの報告では、山形県の新庄大豆畑トラストの今田多一さんが「雨が多く、毎年8月に実施している草取りツアーだけでは間に合わず、生産者自らも草取りをやり大変だった」と振り返りました。
千葉県匝瑳(そうさ)市のみやもと山「みそみそハウス」の斎藤超さんは、「台風や猛暑で年々収量が落ちている。しかし自然を大切にした有機農業で地域を大切にしていきたい」と語りました。
秀明自然農法ネットワークからは埼玉県東松山市の川島由利子さんが「雨が多く大豆が再三泥水につかってしまった。みそづくりが好評だった」と述べ、茨城県取手市の岡田剛彦さんは、「天候不順で種をまく時期が遅れ、収量も過去最悪だった。農業を引退した生産者から高額な機械を低額で譲り受けたので、張り切ってつくろうと思っている」と発言しました。
若い人に運動広げよう
生産者を支える消費者の支援
生産者を支える消費者からも報告がありました。
匝瑳市の寺本幸一さんから大豆を取り寄せている東京都目黒区の柴田のり子さんは、「天候不順で種まきや収穫祭はできなかったが、耕作放棄地を利用してつくった大豆を届けてくれた」と報告。目黒区消費者の会の代表は、区も後援して「手作りみそ講座」を実施し、参加者が抽選になるほど盛況なことを紹介しました。
日本スローフード協会の渡邊めぐみ代表理事は、「若い人の参加を意識して運動を広げていきたい」と述べました。
報告の最後に、生産者を代表して、山形県新庄市の高橋保廣さんが「米の減反で大豆づくりを始めた。大豆畑トラストを始めた当初は大豆の自給率が2〜3%程度だった。遺伝子組み換え大豆が大量に輸入されたら困るということでトラスト運動を続けている。みなさんの支援があるからこそ継続してこられた。人のつながりで元気をもらっている」と支援に感謝の言葉を述べました。
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昼食は大豆尽くしの料理 |
キャンペーンの小野南海子さんから「大豆の自給率を7%からさらに引き上げるためにも運動を広げ、地域の奨励品種や在来の大豆を栽培し、種を守る運動に結びつけましょう」と提案しました。
最後に天笠代表が、「有機農作物・食品は、遺伝子組み換え・ゲノム編集排除の原則が確立した。有機農業を推進し、『有機食品を学校給食に』という運動をさらに広げよう。規制条例制定運動を全国の自治体で進めよう」と呼びかけました。
(新聞「農民」2020.3.2付)
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