「農民」記事データベース20191209-1388-15

私と米麹
(上)

京都・京丹波町 森下克人さん


仕込みから48時間
純白の菌糸まとう姿に

 私は、京都府京丹波町で水稲2・6ヘクタール、九条葱など野菜0・7ヘクタールを栽培する専業農家です。リーマンショックを機に2011年に専業農家を目ざして移住してきました。

 17年前のある日、私がまだ愛知県でサラリーマン生活をしているときに、スーパーで米麹(こうじ)と出会いました。パッケージの裏面には、米麹みそ(信州みそ)の作り方が載っていました。「へぇ、みそって大豆、米麹、水、塩だけででき上がっているんだ。案外単純だなぁ。自分にもできそうだ」という思いから、自宅でみそづくりが始まりました。

 初めてでき上がったみそのおいしさにびっくり。そして何より麹菌の働きによって大豆が数カ月のうちに、劇的に変化するさまがとても面白く感じたこともあり、それ以後、現在まで欠かさず手前みそでみそ汁を堪能(たんのう)しています。

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何回作っても感動する真綿のような純白の菌糸をまとった米麹

 数年前、塩麹がブームになり、すぐさま米麹がスーパーの陳列棚から姿を消しました。こうなったら米麹から自分で作るしかない。ちょうど米は自分で作っているし、米麹から作ったら感動もひとしおでは…との思いから、麹の種菌を購入しました。

米麹も大豆も自前の
こだわりみそを実現

 米麹のつくり方は、まず米を蒸し、麹菌を茶こしを使ってふりかけ、まんべんなく擦り込みます。次に、温度30度、湿度100パーセント近い室で24時間発酵させます。それから2度の手入れを行った後、最後に18時間をかけて寝かすと麹菌が米の芯にまで入り込みます。

 やがて仕込みから48時間後には、すべてのお米を一塊りにしながら、純白の真綿のような菌糸がまとうようになり、生まれたての生米麹へと劇的な変貌を遂げます。これが毎回たいへん快感で、ずっと作り続けています。

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生まれたての生米麹

 今年は、白大豆も栽培しました。先日収穫も終え、現在は乾燥中。塩以外すべて自前のこだわりのみそが、来年食卓を飾ります。とても楽しみです。

(新聞「農民」2019.12.9付)
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2019年12月

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